早過ぎる円安、日本株はいったん反落も 【今週のマーケット】実はまだ高値更新でない日経平均

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前週末は、日経平均株価は「年初来高値」「6年ぶりの戻り高値」といった文言にあるように沸いたように見える。だが、実は日本株の動きは、急ピッチに円安が進んだ割には鈍い。

円安の割に鈍い、日経平均の動きはどうなる?

日経平均は昨年末の高値を抜けたが、米ドル換算した日経平均は、株の上昇より円安が大幅なため、昨年末どころか、実は、今年7月末の戻り高値も下回っている。

実態面で見ると、8月分の輸出金額は前年比で1.3%減少し、輸出は円安下でも伸び悩みんでいる。これは、製造拠点の海外移転による部分もあろうが、多くの外国人投資家は、日本企業は特に家電を中心に、魅力的な製品作りができなくなり、国際競争力を失ったのではないか、との疑念を寄せている。

国内景気全般も、消費増税後は何とか回復基調にあるものの、内閣府は景気の基調判断を5カ月ぶりに引き下げた。

それでも企業収益は増益基調ではあるので、年末の日経平均としては1万8000円近辺を見込む。だが、前述のように、短期的には為替が円高へ反転するとともに、いったん株価も下押し、日経平均は1万6000円を割り込む可能もある、と警戒している。

今週の日経平均株価見通しは下値1万5700円、上値1万6500円を予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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