ワタミ、「ミルキー宴会」で起死回生なるか タッグを組むのは北海道の"あの牧場"

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「花畑コース」は2時間の飲み放題付きで税込み5000円

さらに花畑コースとは別に、今年の忘年会シーズンに向けて、一番のボリュームゾーンである4000円のコースを2種類用意した。若い男性などをターゲットとした「まんぷくコース」と、量より質を重視した「味わいコース」の2つだ。

「画一的な商品を単に価格別に並べるというのが、これまでの一般的な宴会コースだった。宴会メニュー売り上げの4割を占める4000円コースも1種類しかなかった。今回ラインナップを拡充することで集客につなげたい」(マーケティング部の平澤克教氏)

いずれのコースも9月19日から予約を開始、同月24日から提供し、来年3月まで展開する。忘年会が集中する12月の宴会コースの売上高については、前年同月比で5%増を目指す(昨年12月は同7%減)。

忘年会に注力する事情

ワタミがここまで忘年会に向けて注力する背景には、足元の不振から“早期に”脱却したいとの思惑が垣間見える。

今年5月の2013年度決算発表時、ワタミは2014年度の国内外食セグメントの既存店売上高を前年比で101.5%にする計画を示した。同セグメントの9割を和民業態が占めていることから、計画達成に向けては和民の復調が不可欠となる。

ところが、ふたを開けてみれば、4~8月は前年割れが続いている。桑原社長は「居酒屋の中でも、チェーンの総合居酒屋は苦戦している一方、専門性の高い業態は前年超えが続いている」と語る。二極化の構図が鮮明になる中で、和民業態は不振から脱せずにいる。

ワタミは、国内における外食事業の全店舗に占める和民業態の割合を現在の9割から2017年度末をメドに6割まで引き下げるという目標に掲げている。専門性の高い業態を増やすことで、消費者ニーズの変化に対応していく構えだ。

とはいえ、業態集約後も和民が主力業態であることには変わりはない。そのテコ入れなしに、業績の底上げは厳しい。今回の宴会メニュー導入をきっかけに、回復の兆しは見えてくるのか。ワタミにとって正念場となる年末は、3カ月後に迫っている。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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