(第37回)【変わる人事編】大シューカツ時代の没個性。学生も企業もWeb依存症候群

(第37回)【変わる人事編】大シューカツ時代の没個性。学生も企業もWeb依存症候群

佃 光博

 今回は「シューカツ」という言葉を考えてみたい。シューカツは「キャリア」への入り口である。シューカツによって企業の扉は開かれ、就職して初めてキャリアが始まる。

 しかしどうも昨今のシューカツは、学生を疲弊させているように見える。その様相はかつての受験戦争に似ている。受験戦争は高校生・浪人生が志望校進学のために勉強に励んだ時期に使われた言葉だ。世界的に見て日本の大学生ほど勉強しない国はない。その理由として某国立大のフィンランド人物理学者は「大学受験で精魂をすり減らして、大学に入ると解放されて遊ぶのではないか」と言っていたが、上位校の学生ならそういう側面もあるかもしれない。いまでも難関大学への進学は狭き門だ。

 受験、学ばない学生、シューカツ。相互が関連している。教育のあり方も採用のあり方も、とてもヘンである。

●辞書に収録された「就活」はカタカナに変身して「シューカツ」に

 言葉ができて、スタイルが定着することがある。「携帯電話」が生活のスタイルとして定着して「ケータイ」になったことが好例だし、「就活」もその一つだろうと思う。
 今日では広辞苑、大辞林、新和英大辞典にも「就活」は収録されており、「就活に奔走する学生」というような普通名詞になっている。時にはカタカナ表記されて「シューカツ」になるが、この言葉は1990年代まで存在しなかった。もちろん「就職活動」という言葉は頻繁に使われていたが、縮めて「就活」と言うことはなかった。

 「就活」が2000年代に入ってから登場したことは記憶しているが、いつ誰が使い始めたのかははっきりしない。ただ、普通名詞として定着してきたのは2000年代半ばからであり、完全に市民権を得たのは、08年11月に書店に並んだ「就活のバカヤロー」(光文社新書、石渡嶺司・大沢仁著)からだろう。この頃から「シューカツ」という表記が増えてきた。
 「シューカツ!」という小説(石田衣良)もあれば「シューカツ!!」というマンガ(吉野 阿貴)もある。就職活動は重く響くが、シューカツは軽やかに聞こえる。国語辞書の新版が出れば、「シューカツ」は間違いなく収録されるだろう。

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