(第38回)【変わる人事編】厳しさを増す理系就活。そのサバイバル法

(第38回)【変わる人事編】厳しさを増す理系就活。そのサバイバル法

佃 光博

 今回は理系就活について書いてみたいと思う。前回、就活マニュアル本の氾濫について触れた。就活マニュアル本は書店の一角を占拠するほど多いけれど、よく見ると理系就活本は皆無なのだ。その理由は簡単だ。 学生数が文系の2分の1以下と少なく、1学年に18万人くらいしかいない。しかも推薦制度が残る理系の就活意識は文系に比べて低いから、買ってくれるかどうかもわからない。理系向けに就活マニュアル本を出版しても利益が出にくいのだ。しかも「理系就活事情」を知る人がほとんどいない。

 理系人材を採用したい企業は、製造業だけではなく幅広い業種に存在するが、人事も理系学生と文系学生の違いがわかっていないことが多いようだ。

●2011年理系就活で偏差値50以下の大学は、内々定率5割以下

 8月末に都内の私立理系大学の教授と話す機会があった。私立大学は就職指導に熱心であり、理系の場合も例外ではない。その教授に今年(2011年卒)の内々定状況を聞いたところ、かなり厳しい数字だった。
 その教授によれば、早慶の理系はさすがに7割だが、他の私立理系大学は良くて6割程度とのこと。偏差値が50以下の理系大学は4割程度であり、偏差値40の大学では2割というところもあるらしい。

 昨年も同じように悪かったけれど、偏差値の低い大学でももう少し健闘していた。今年は学力の差が顕著に出ている。この内々定率は理系のものだが、文系はさらに10ポイントくらい低いという。もちろん旧帝大クラス、早慶クラスは安泰だが、下位校は厳しい。

 就活は3年次の10月1日の就職ナビのオープンから始まり、翌年のゴールデンウイーク前後に大手企業の採用はほぼ収束する。しかし中堅、中小の採用は継続するのが一般的だった。また大手の中にも秋採用の門戸を少し開けるメーカーもあった。ところが、今年は円高が猛威を振るっている。自動車最大手のトヨタでさえ、円高に苦しんでいる。中堅、中小の製造業はもっと苦しい。とすると、9月以降に2011年採用が完全に閉まってしまう可能性が高い。

 2010年採用では大量の学生が就職できなかった。8月5日文科省発表の「学校基本調査」によれば、就職率は60.8%と前年からの下げ幅はマイナス7.6%と過去最大。進学も就職もしていない進路未決定者は8万7000人、高卒未決定者を含めると15万人に達する。

 2011年採用の数字が固まるのは来年の5月(文科省が発表)と先の話だが、2010年採用よりも厳しくなる公算が高い。そしてこれから始まるのが2012年採用だ。例年なら採用計画は夏前に策定済みのはずだが、こんなに異常な円高が続けば、採用数を決められるはずがない。理系の就職率は文系より高いと言われてきたが、円高は製造業を直撃するから、2012年採用では極めて厳しい事態が想定されるのだ。

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