(第44回)就職を企業と学生のコミットメント(約束)の場としてとらえ直す

(第44回)就職を企業と学生のコミットメント(約束)の場としてとらえ直す

佃 光博

 今回の就職塾インタビューは、株式会社ワークス・ジャパンの吉澤潔会長を訪ねた。吉澤氏は就職情報産業の草創期から活躍したベテランだ。業界の誕生から成長期、バブル崩壊後の変化、就職ナビ依存症に陥った2000年代と、歴史を熟知している。そして吉澤氏は、10年夏に設立され秋から本格的な活動を開始したワークス・ジャパンの会長に就任し、新たな活動を展開し始めた。「ミドルコア人材」というコンセプトによって、既成の採用プロセスから脱却するターゲット・リクルーティングを提唱し、採用後の「育たない人材」という悩みについても、「育てられない企業」の側に問題があると提起している。

●新入社員が「育たない」、「すぐ辞める」という人材クライシス

 この1年で就活は社会問題化した。どんなに血眼になって就活に励んでも、内定を獲得できない多くの学生がおり、「早期化」と「長期化」が問題とされている。こんな就活では学業が妨げられるし、働き場を持たないまま卒業した学生にもチャンスを与えるべきだというのだ。

   確かに就職できない学生が大量発生することは大問題だ。しかし、雇用の劣化は新卒学生の就職だけで起こっているのではない。就職した後にも大きな問題がある。新入社員が「あいさつすらできない」「育たない」、そして「すぐ辞める」という人材クライシスだ。おそらくどの企業の人事も同じ感想を述べるのではないだろうか?

 「ゆとり教育の弊害」「若者人口が減っているのに大学進学率が50%を超えて名ばかり大学生が急増」。要するに学生の学力が低下し、大事に育てられてきたので人間としての力も弱くなっている、と人事は悩んでいる。

 「どうせ僕たちはゆとり世代だから」と自虐的な学生も多い。コンプレックスが過度な就活本の物まねに走らせ、悪い結果を招いている。しかし「いまの学生の質が落ちている」という前提は本当なのだろうか?

●若者の能力は高く、ITスキルや語学力は優れている

 ワークス・ジャパンの吉澤氏は1970年代から採用PRに携わり、現役で活躍している人物として最も豊富な経験を持っている。その吉澤氏は「今の若者の能力は10年前、20年前よりも高い。特にITスキルや語学力は明らかに優れている」と断言する。
 そうかもしれない。十数年前まで新入社員研修で必ず実施されていたPC研修を、現在行っている企業はほとんどない。TOEICスコアも格段に高くなっている。
 能力は上がっているのに、なぜ人事は「育たない」と嘆き、若年社員は辞めてしまうのか?

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