ついに全米発売、「ゼロ・トゥ・ワン」の衝撃度 競争は負け犬がするものだ、独占せよ

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2004年には、ビッグデータ分析専門コンサルタント会社、パランティール・テクノロジーズを共同創業。ウォール・ストリート・ジャーナル(2013年12月5日付)によれば、同社は、米連邦捜査局(FBI)や中央情報局(CIA)、大企業を顧客に持ち、「今、シリコンバレーで最も価値の高い株式非公開ベンチャーの一つ」だ。資金調達も順風満帆。2013年12月には、時価総額が90億㌦(約9700億円)に達し、話題になった。

また、2005年には、創業間もないIT系スタートアップに投資するベンチャーキャピタル企業、ファウンダーズ・ファンドを共同で立ち上げた。現在はマネージングパートナーとして、「世界に大きなインパクトを与える」ベンチャーの育成にまい進している。

ティール氏の投資先の一つでもある米キャリア専門ソーシャルメディア、リンクトインに自身が載せているプロフィールには、こう書かれている。

「世界を変えることに関心がある、まじめな知識人との出会いを希望」

無敵の「ゼロ・トゥ・ワン」企業、グーグル

Peter Thiel●1967年10月生まれ。シリコンバレーでもっとも注目される起業家のひとり。1998年にPayPalを共同創業し会長兼CEOを務めた。フェイスブックへの投資でも巨万の富を築いた(写真:ロイター/アフロ)

そんなティール氏のモットーは、「コンペティション(競争)よりモノポリー(独占)」だ。著書『ゼロ・トゥ・ワン』発売を前にウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿したエッセイのタイトルは、ズバリ「競争は負け犬がするもの」(9月12日付)。長く続く価値を生み出すには「独占」を構築せよ、というわけだ。

ティール氏は、売り手と買い手が多数いることで、価格が需給関係によって決まるような「完全競争市場」を批判する。同氏いわく、「負け組」の代表は、薄利経営の米航空業界。一方、独占による高収益を謳歌する「勝ち組」の代表が、検索エンジンで無敵の「ゼロ・トゥ・ワン」企業、グーグルだという。

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