クリス・ヒューズ、若きミリオネアの野望 オバマを大統領にした、ソーシャル界のレジェンド

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日本では肉食系に見える、"がっついたビジネスパーソン"も、世界基準でみれば草食系だ。とくに、ニューヨークでは今でも、他者を押しのけてグリード(どん欲)にキャリアアップを目指す人々が生息する。本連載では、その競争社会を勝ち上がった、ハイレベルなビジネスパーソンのキャリアストーリーに焦点を当てる。第1回はニューヨーク有数のヤング・ミリオネアであるクリス・ヒューズ(30)だ。

 

2004年、ハーバード大学の同級生だったマーク・ザッカーバーグ氏とクリス・ヒューズ氏。ヒューズ氏はフェイスブックの共同創業者だ(写真:picture alliance/アフロ)

「シンク・ビッグ(大きな発想を持て)、大志を抱け、リスクを恐れるな」

ニューヨーク有数のヤングミリオネア、クリス・ヒューズ氏(30)は今年3月、まだ寒さの残るイリノイ州を訪れ、エルムハースト大学のキャンパスの一室で、こう聴衆に語りかけた。

「フェイスブックは、21世紀の米国の創意工夫と起業家精神を表す明確な例だ。起業は、わが国のアイデンティティーの根幹を成すものである」

若きソーシャルメディア界のレジェンド(伝説的人物)――。ヒューズ氏には、そんな言葉がよく似合う。知る人ぞ知るフェイスブックの共同創業者。テク・メディア企業への投資家でもある。

オバマを大統領にした若者

2008年の大統領選では、オバマ陣営のネット選対部のストラテジストとして、若い有権者の支持拡大に貢献し、注目を浴びた。「The Kid Who Made Obama President(オバマを大統領にした若者)」として、米ビジネス誌の表紙を飾ったこともある。

2012年3月には、弱冠28歳で、今年創刊1世紀を迎える米・政治系オピニオン誌『ニュー・リパブリック』を買収。発行人にとどまらず、自ら編集長にも就任し、業界をアッと言わせた。

かつてはジョージ・オーウェルやバージニア・ウルフなど大物作家を執筆陣に擁しながらも経営難に陥り、2007年、週刊から隔週刊への移行を余儀なくされ、部数も右肩下がりだったニュー・リパブリック。ニューメディアのアイコンであるヒューズ氏が、そんなオールドメディアを買うとは正気の沙汰か、というわけだ。

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