クリス・ヒューズ、若きミリオネアの野望 オバマを大統領にした、ソーシャル界のレジェンド

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また、2012年にスタートして以来、人気急上昇の米バイラルメディア「Upworthy(アップワーシー)」にも出資し、役員として籍を置く。バイラルメディアとは、ソーシャルメディア上で拡散する、ビデオなどのコンテンツを扱うサイトのことだ。たとえば、ハリウッドスターがユーモアたっぷりにニューヨークのホームレス児童への寄付を訴えるチャリティービデオなど、共感度が高いコンテンツを紹介し、大きな反響を呼んでいる。

ヒューズ氏の野心は、とどまるところを知らない。

「現状に甘んじないこと。大胆に考え、夢見ること。前進するにはそれしかない」。同氏は、エルムハースト大の講演会をこんな言葉で締めくくった。そして、フェイスブックが月刊12億人のアクティブユーザーを抱えるまでになった第一の理由として、「desire to succeed at scale(成功への大いなる切望)」を挙げる。

「ITの新しい波と成功への期待、野心が一つになれば、20億人に上る世界のネット市場に、たちまちにしてアクセスできる」

テクノロジー領域には、夢をつかむ機会が多い

まだ30歳と若く、今後のさらなる活躍が注目されている(写真:ロイター/アフロ)

シリコンバレーに複数のベンチャー企業を興し、現在はIT起業専門家として知られるビベック・ワドワー氏は言う。「ヒューズ氏は、ソーシャルメディア革命で大きな利益を手にした。だが、今や世界を変え、幸運をつかむ機会は、それにとどまらない。ロボット工学や人工知能、3Dプリント(3次元印刷)。今の若者には、急速に進化するテクノロジーという大きな強みがある」。

世界の貧困や食糧危機などの解消に向けて最先端テクノロジーを教えるシンギュラリティー大学(シリコンバレー)で研究監督も務めるワドワー氏は、次のようにも言う。

「こうしたテクノロジーを学んで新たな分野に応用し、人類が直面する難問を解決すれば、明日のヒューズやザッカーバーグになれる」

今でもアメリカンドリームは健在だ。

肥田 美佐子 ニューヨーク在住ジャーナリスト

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ひだ みさこ / Misako Hida

東京都出身。『ニューズウィーク日本版』編集などを経て、単身ニューヨークに移住。アメリカのメディア系企業などに勤務後、独立。アメリカの経済問題や大統領選を取材。ジョセフ・E・スティグリッツなどのノーベル賞受賞経済学者、「破壊的イノベーション」のクレイトン・M・クリステンセン、ベストセラー作家・ジャーナリストのマルコム・グラッドウェルやマイケル・ルイス、ビリオネア起業家のトーマス・M・シーベル、ジム・オニール元ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長(英国)など、欧米識者への取材多数。(連絡先:info@misakohida.com)

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