「沖縄の民意」は、なぜ無視され続けるのか 知事選に向けヒートアップする本土・沖縄関係

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「名護だけが沖縄ではない」と言い切った仲井真弘多・沖縄県知事(左)。11月の知事選で安倍政権は仲井真知事再選に向け、あらゆる手を打ってきそうだ(ロイター/アフロ)

7日の名護市議会選挙で、米軍普天間飛行場の同市辺野古移設に反対する市議が過半数を占めた。これで2010年の名護市長選と市議選、今年の市長選と市議選と、反対派が「4対0」で勝ったことになる。しかし政府はこの民意に逆らい、美しい海を埋め立て米軍に提供する方針を変えない。沖縄情勢は11月の知事選に向けてますます混沌としていく。

反対派は余勢を駆って、11月の沖縄県知事選に臨みたいところだ。名護市議会(定数27議席)選では、公明市議2人を含む反対派16人が当選した。実は公明党沖縄県本部は普天間問題で「県外移設」の主張を変えていない。公明党沖縄県本部の金城勉幹事長は「名護(市政)では中立の立場だが、争点となった辺野古問題では反対の世論が明確となった」と語っている。選挙公約をあっさり反古にした自民党沖縄県連とは一線を画していることが、知事選をめぐる大きな注目点となる。

沖縄県知事「名護だけが沖縄でない」

仲井真弘多知事は名護市議選の結果について、「(同日行われた)他市町村議会の選挙をご覧になればわかるとおり、私の政策に賛成する方向が多いと思う。名護だけが沖縄ではない」と言い切った。名護以外の4市議選では仲井真知事に同調する市長側の候補者が過半数を占めたが、『琉球新報』のアンケートでは全当選者の過半数が反対を表明している。情勢認識の誤りだけでなく、これは敵失だ。「沖縄だけが日本でない」という言葉にあるように、「安保・抑止力」を紋所とする政府と同じ志向を、仲井真知事も県内の一地域に向けている。

辺野古受け入れを決めた後の知事の言動には危うさがつきまとう。例えば先月、地元の反対を押し切って政府が辺野古の埋め立てに着手したとき、記者からコメントを求められても、知事は「工事の進捗でいちいちコメントしない。防衛局に聞いてくれ」と他人事を装った。

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