「文系社員」が生き残るには「数学語」が必須な理由 数学を学び直して「数の世界への見通し」をもつ

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そして、STEM教育の重要性がクローズアップされています。STEMは科学・技術・工学・数学の頭文字で、大学でもカリキュラムや入試を改革する動きが見られるようになりました。

コロナで崩壊した「気は心」の男社会

「欲しい人材」は理系ばかりになる?

つまり大きな流れで見ると、理系的素養の重要性は高まっていく一方で、多数の「文系社員」にとっては、自らのキャリアに不安が高まらざるをえない状況なのです。

また、この影響は大学生にも及んでいるようです。文系学部の学生から「デジタル系の会社に就職を決めたら、卒業まで独学で学び直す」という声もよく聞きます。

かつてのイメージであれば、文系社員は都心のオフィスに勤め、会社という共同体の中心にいるように見えたかもしれません。郊外の研究所や工場にいる理系学部出身者に比べて「華やかな」イメージもあったでしょう。

しかし、時代は大きく変わってきています。かつては文系社員の牙城のようなイメージがあった金融機関でも理科系のトップが生まれています。かつての護送船団の時代には霞が関との折衝が重要だったのでしょうが、いまではフィンテックと言われる先端技術や、安定的で安全なシステム運用力が最も問われるようになっています。

そして、日々の仕事においてもデータを読み込む力や、そこから説得力のあるシナリオを考えていく能力こそが、その人のキャリアを左右することになりました。

かつては得意先と強固な関係を構築して、時には会食やゴルフなどで、相手の懐に飛び込んでいく人がリーダーになっていく時代もありました。それを「結局は人間力だよ」とわかったような、わからないような言葉でうそぶいていた人もいたようですが、だんだんと影がうすくなっているようです。

これはビジネスが男中心の社会だったときには通用していたのかもしれません。しかし、多様性が重視されて、そうした新しい組織が成果を上げることが明らかになっています。

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