驚くほど自然。ある専業主「夫」の人生

「男女平等」も「女性の社会進出」も関係ない?

ニッポンの夫婦が“変異”している? 「夫は外で働き、妻は家庭を守る」など今や昔。この連載では「産後クライシス離婚」から「イクメン幻想」まで、刻々と変化する現代の夫婦たちを、女性・夫婦問題に詳しいジャーナリストの治部れんげさんが追います。共働き、主婦家庭、主夫家庭……それぞれの夫婦は今どうなっているのか?
専業主夫として家庭を切り盛りする、宮本一嘉さんの生き方とは?

抽象的な言葉は一度も出てこなかった。

男女平等、妻のキャリア、女性の社会進出……筆者があえて質問したとき以外、これらの言葉が、宮本一嘉(かずよし)さんから発せられることは、なかった。ワークライフバランスすら、出てこない。

宮本さんは現在、専業主夫である。大手メーカーのIT部門で働いていたが、退職し3年前に家庭に入った。1日のスケジュールを尋ねると、「考えてみると、ずっと子どもの送迎をしてますね」。宮本さんには長男(9歳)、次男(6歳)、長女(4歳)の3人の子どもがいる。

朝はバスに乗って幼稚園児の次男を送っていく。4歳になったばかりの長女は宮本さんと1日、近所の公園や児童館、自宅などで一緒に過ごしている。次男の幼稚園が終わるのは、週2回は11時半、週3回は13時半。午後帰りの日はお弁当を持って行く。そして午前帰りの日は、幼稚園近くの公園や児童館で娘さんを遊ばせながらお迎えまでの2時間ほどを過ごす。

長男は小学校高学年。夕方は3人の子どもたちそれぞれ、習い事の送迎。かなり忙しそうだ。

取材は次男の幼稚園送りが終わった後、近くのカフェと公園に移動しながら行った。「パパ、抱っこ」「パパ、公園行こう!」と娘さんが元気にかわいらしく話しかける。鉛筆を削ろうとすると、宮本さんはすかさずバッグからビニール袋を出して削りくずを受け止める態勢に。すべてが自然。育児をメインにやっている、主婦も育休中の女性も男性も、きっとこんなふうに過ごしているだろう。

夫婦は大学のサークルで知り合い、交際4年で結婚した。妻いわく、結婚に「これという決め手はありませんが、あえて言うなら4年間お付き合いして、この人以上に合う人はいないと感じたから、でしょうか」。いかにも自然で飾らない。

共働きから、夫が「主夫」を選ぶまで

ライフイベントとそれに伴う夫婦のありようの変化についても同様で、「なぜそうしたのか」という問いがばからしく思えるほどだ。

第1子が生まれたときは妻が最初の半年、宮本さんが次の1年、育児休業を取得した。妻の復帰時期は仕事の都合で決まった。宮本さんの育休は勤務先で数人目。「男性の育休は、僕が初めてではなかったですね」。

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