爆笑! 世界で通じる「描写力」(実践編) 固定概念を捨てて、ワイルドに想像せよ?!
「ありえない取り合わせ」が、意外性を生む
教え子C:学生の頃、「コンピュータをルネッサンス時代の人に描写する」というお題を授業でやったけど、あのときのAくんの答えは、すごかったわよね。
教え子A:え、俺、何言ったっけ……。
教え子B:お前、覚えてないの? 「大きな箱の中に、レオナルド・ダ・ヴィンチが入っているところを想像してみてください。この箱は、とても便利なのです。ダ・ヴィンチという、とてつもない優秀な頭脳が中に入っているのですから。この箱に向かって、知りたいことを尋ねると、教えてくれます。いろいろなことを教えてくれたり、難しい計算もしてくれます」って。先生、大絶賛していましたよね。
狩野:うん、すごいと思った。ダ・ヴィンチを持ち出せば、コンピュータのすごさをルネサンス時代の人にもわかってもらえる、と考えたんだよね。実に相手目線に立った考え方で、今聞いてもやはり、すばらしい。
教え子C:あと、先生、「Aくんの描写はおもしろい」って、おっしゃっていましたよね。「箱の中に入っているダ・ヴィンチ」という意外な取り合わせがいい、って。大天才が巨大な箱に入っているところを想像すると……、確かに笑っちゃいますね。
狩野:うん、この取り合わせの妙が、実にいいの。最近は、Aくんほどの「面白い」描写をしてくる学生はなかなかいないけど、聞かせる描写をしてくる学生はいる。
教え子A:スカイツリーを江戸時代の人に描写する、というお題ですか。
狩野:そう。その学生はね、スカイツリーのイルミネーションの美しさを江戸時代の人にわかってほしいと考えて、「空まで届くような高い木に、蛍が何百万匹と群がって、その木を照らしているところを想像してください」と言っていた。
教え子B:なるほど。やるなあ!
教え子A蛍が何百万匹も集まって巨木を照らしている……。とても幻想的で、聞かせますね。スカイツリーと蛍、という新しいものと古いものとの取り合わせも、ちょっとした意外性があって、新鮮です。
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