表現力のない企業は生き残れない

リーダーがこぞって頼るアートの力とは?

 アートが持つ力に、企業の注目が集まっている。
 絵を描くことで、普段、言葉だけでは表現できなかったビジョンや思いを会社の社員同志や チームが共有するのに役立っている。日立システムズ、旭化成、日本山村硝子、東京海上日動システムズなど、意外な日系企業を含め、新事業の立ち上げや次世 代リーダーの育成に、「お絵描き」を活用する企業がすでに30社を超えている。
 今までにない新しいアイデアを実践するのが、アートプロデューサーの長谷部貴美氏だ。 アーティストの谷澤邦彦氏と共に、アートによる人材開発に取り組む「ホワイトシップ」を設立した。企業のアートへの取り組みを助言するのは、経営コンサル ティング会社シグマクシスのプリンシパルである斎藤立氏だ。マッキンゼーでのコンサルタント経験などもあり、ロジカル畑をとことん歩んできた斎藤氏と一緒に、企業問題を解決する一助となるアートプログラム「ビジョンフォレスト」というプロジェクトを2009年から開始した。
 「ビジネス(論理)×アート(感性)=企業変革」を旗印に掲げるビジョンフォレストは、立ち上げ3年ですでに黒字化を達成している。アートという未知数のビジネスを成功させた長谷部氏と斎藤氏に話を聞いた。

対談の前編――企業にこそ「アート」を導入すべきだはこちら

――表現を磨くためにアートを活用するという魅力的な取り組みがなぜ今までなかったのでしょうか。

長谷部:歴史的な問題やタイミングもあるのでしょう。アートは、近年は売れるものが主流で、経済がパトロンになっている。そうするとアート自体が今の私たちが使っている文脈では使われません。一般の人が自分のクリエーティビティを開眼するというよりも、アーティストが価値を生んでお金持ちの人が買うか、権力者が使うものになってきたと思います。

逆に、誰もが自由な発想で表現をしたら、社会はおかしくなるんじゃないか、権力構造が崩れていくんじゃないか、とおそれられてきた部分もあるように思います。今までは、皆がクリエーティブである必要がなかったのです。それを変えようと活動をしてきたアーティストも歴史的にたくさんいたと思いますが、アートを実生活で活用する取り組みは子どもの教育の中くらいしか出てきてないのではないかな。

もう一つは学校教育の問題ですね。上手に描きましょうという事に主眼がいくと、表現力は育ちません。

斎藤:実アーティストの方々も課題はあって、自己表現を目的にしている人が多く、異業種の交流は簡単ではありません。今回のような異業種コラボが実現したのも、アーティストなら誰とでも出来たという訳ではなく、長谷部さんとだから実現できたんだと思います。

長谷部さんたちは、アートを通じて社会や企業を変えることに価値を置き、自己表現の域を超えています。アーティストも、もっと大きくアートの力をとらえ、社会に訴えかける気力が必要なので、自己表現重視のアーティストなら一緒にビジネスはできないと思います。なので、海外でも我々のコラボは驚かれます。

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