ホンダ、4~6月期の販売台数は伸び鈍い 為替要因で増額、通期利益は最高益へ

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リコールを繰り返すも業績への影響は限定的?(撮影:梅谷秀司)

ホンダが7月29日に発表した2014年4~6月期(2015年3月期第1四半期)決算は、前年同期比5.4%の増収、同7.1%の営業増益、同19.6%の純増益なった。四輪、二輪の販売台数の増加に加え、為替が若干の円安に振れたことも追い風となった。ただ、アジア、米国とも当初見込みに対しては販売台数が下振れ気味。為替要因で通期業績見通しを上方修正し、利益は過去最高益となりそうだ。

主力の4輪事業は、販売台数106.1万台で、前年同期比6.2%増。日本とアジアが伸びた。

日本は軽自動車が好調を持続していることに加え、昨年、主力車種の「フィット」をフルモデルチェンジ、また小型SUVの新型車「ヴェゼル」を投入したことが寄与、前期が補助金切れにより大幅に落ち込んでいたこともあり販売台数は20.2万台と前年同期比44.3%の大幅増となった。先行きについて岩村哲夫副社長は「(消費増税の影響で)受注状況は4月は前年同月比80%だったが6月は98%に回復、夏休み明けには前年並みになるとみている」と自信のほどを示した。

アジアも販売台数は31.6万台、前年同期比10.9%増と堅調だった。タイでの大幅な落ち込みがあったものの、出遅れていたインド、インドネシアに投入した新型車は好調。中国でも尖閣問題がいったん沈静化していることもあって、現地向け専用開発モデルが堅調に推移した。ただ、アジア地域の景気減速で当初見込みに対しては販売が未達。だが、通期の159万台計画は据え置いた。「国によってでこぼこがあり、トータルでの達成を目指していく」(岩村副社長)。

北米では新モデルの立ち上がりが遅れる

反面、米国市場は販売台数44.5万台で前年同期比3.1%減と停滞した。他地域では伸びた分、不調が目立つ形となったが、これについて岩村副社長は「フィットとアキュラTLXという2つの新モデルの立ち上がりが遅れたため」と説明する。「フィットはメキシコで生産を開始したが、新モデルをまったくの新工場で作っていることをふまえ、品質を確保するため慎重に生産をしており、それにより立ち上がりの在庫確保が遅れた。またTLXはさまざまな新技術を盛り込んでおり、こちらも検証などに時間がかかり発売が8月にずれ込んだ」(岩村副社長)。いずれも今後キャッチアップは可能として、通期の販売計画181万台(前期比3%増)は見直さなかった。

為替レートが当初想定の1ドル=100円、1ユーロ=135円に対して、期中の実績がそれぞれ102円、140円と上ブレたことから、通期の業績見通しを増額した。売上高は12.8兆円(500億円増)、営業利益は7700億円(100億円増)、純利益は6000億円(50億円増)とした。純利益は過去最高だった2008年3月期に並ぶ水準となる。 費用を多く見積もり、下期の為替想定も保守的であり、利益水準は上方修正後の予想をも上回る公算が大きい。

なお、フィット、ヴェゼルのハイブリッドモデルについて、異例の4回目のリコールを行った問題について、岩村副社長は「品質を最優先に考えている」との紋切り型のコメントに終始し、問題に対する具体的な要因分析や対策については語らなかった。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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