ホンダ、「フィット」で相次ぐリコールの代償 2013年9月の発売から4度目、何が起きているのか

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13年9月に発売した新型「フィット」。看板車種で相次ぐリコールは大きな痛手だ。

「4回もリコールを繰り返すとお客さんの信用をなくす。しっかり時間をかけてテストできなかったのか。もっといいクルマを作ってよ」――。東京都内のホンダ系ディーラーの社長は、さすがにあきれた口ぶりで嘆く。

ホンダは、7月10日、コンパクトカー「フィット」と小型SUV「ヴェゼル」のハイブリッド車(HV)について、意図しない急発進などを起こすとしてリコール(回収・無償修理)を発表。さらに11日には、自動パーキングブレーキ動作が使用条件によって危険な場合があるとして、改修するサービスキャンペーン(リコール制度の対象ではない無償修理)も発表した。不具合の原因は、いずれもエンジン制御プログラムの不具合だ。

リコールの対象は、これまで販売されたすべてにあたる17万5356台。ホンダによると、前者の急発進では11件の物損事故、後者の自動パーキングでは1件の人身事故があったという。

3回のリコール後も20件以上のトラブル

フィットのHVがリコールを発表するのは実に4回目(発売時期の関係でヴェゼルは2回目)。昨年10月、12月、さらに今年に入って2月にも、急発進等の現象でリコールをしている(関連記事「ホンダ『フィット』に不具合が多発する理由」)。このときの原因は、いずれもトランスミッション(変速装置)の制御プログラムの不具合で、やはり販売した全車両が対象となった。3回目のリコールの際には、車両の生産・出荷停止、販売在庫の顧客への引き渡し中止など、異例の対応に追われた。

ところが、3度にもわたるリコールにもかかわらず、その後も急発進等のトラブルの情報は絶えなかった。国土交通省が公表している利用者からのトラブル情報「自動車の不具合情報ホットライン」に報告されているものだけでも、3度目のリコール後にもエンジン・トランスミッション関連のトラブル情報が20件以上もある。これらすべてが車両の故障によるものとはいえないが、報告件数や内容は2月のリコール前後であまり変わっておらず、トラブルが終息していなかったことがうかがえる。

過去3回はトランスミッション制御プログラム、今回はエンジン制御プログラムと、プログラムの種類は異なるものの、不具合として発生する現象はいずれも急発進等とほとんど同じ。「前回までのリコールで原因を明らかにしたと考えていたが、結果的には原因究明が不十分で今回の不具合(エンジン制御プログラム)を見つけられず、申し訳ない」(ホンダ広報部)と話す。

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