伊藤忠とタイ財閥、電撃提携の舞台裏

「巨人たちの握手」、真の狙いは中国市場の深掘り

香港で資本提携の調印式に臨む両社。中央左が伊藤忠の岡藤社長、右がCPグループの謝会長

日本とタイの経済界を代表する「巨人」同士の縁組は、気宇壮大な提案から始まった。

「5年以内に、中国でファミリーマートを10万店、展開しようじゃないですか」。

タイ最大級の財閥であるチャロン・ポカパン(CP)グループが伊藤忠商事に提携を持ちかけたのは、昨年5月のことだった。同時にCPグループからは、伊藤忠の筆頭株主になりたいとの意向が示された。

それから1年あまり。両社は7月24日に資本提携を発表した。CPグループは1020億円を投じて伊藤忠に4.7%を出資。そのうち0.88%は日本政策投資銀行とCPグループが折半出資するファンドが保有する。これでCPグループは伊藤忠にとって、信託口を除けば最大の株主となる。

伊藤忠の岡藤正広社長は、「ファミマ10万店構想」にほとんど関心を示さなかった。伊藤忠が3割強出資するファミマは中国で1162店(6月末)を出店している。それを飛躍的に広げる構想はCPグループの自信のほどを示すが、大風呂敷が過ぎると感じたのだろう。

“本気の付き合い”なら資本提携を

だが、岡藤社長はCPグループが筆頭株主の座を求めてきたことには、鋭敏に反応した。資本提携まで考えているなら、“本気の付き合い”ができる。一方通行ではなく、伊藤忠からも出資できるなら、乗ってもいい話だ。

CPグループの起源は、中国・広東省から移民した謝一族が1921年に起こした野菜種子商である。いまやアグリビジネスでは世界有数で、2013年のグループ売上高は約4兆円。国内外の従業員数は30万人におよぶ。農業と食料品が中心だが、携帯電話会社や流通、不動産を手掛けるコングロマリットで、タイではコンビニのセブン-イレブンを約7600店展開する。

一方の伊藤忠は「非資源ナンバーワン」商社を標榜し、資源ビジネスで稼ぐ三菱商事や三井物産を追い上げ中。食料を中心とした非資源分野のビジネスをアジアで開拓するうえで、華人財閥の人脈と情報力は、強力な武器になる。

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