なぜ米カジノ大手はアジア進出に熱心なのか

過当競争に陥るアメリカのカジノ

米国のカジノはラスベガスだけではない(写真:アフロ)

基本的なことですが、アメリカ合衆国(以下、米国)は50州(および、コロンビア特別区)で構成される連邦共和制国家です。米国の各州は独自の憲法と州法を整備し、ほとんど独立国に近い強い自治権を持っており、米国全体に効力を持つ連邦法は、外交、州間の通商などに関連する事項に限定されています。

米国の連邦政府と州の関係は、日本の中央政府と都道府県の関係とは大きく異なります。また、米国では連邦政府の認定を受けたネイティブ・アメリカン(先住民)の部族政府が自治権を有し、独自の規則、司法制度を持っています。

930ものカジノが稼働

米国のカジノ市場は全体として明らかな供給過多、過当競争に陥っています。米国では合計930のカジノが稼働しています。このうち、コマーシャルカジノ(民間商業施設。部族民運営ではない)は17の州で合法化されており、合計464の施設が稼働しています。コマーシャルカジノには、陸上(ランドベース)と、主にミシシッピー川流域にあるリバーボート(船上カジノ)があります。一方、トライバルカジノ(米国先住部族民の所有)は28の州、合計466の施設が稼働しています。

カジノ施設は日帰り圏内(1~2時間の移動範囲)に住む人々の金融資産をターゲットとします。それぞれの州政府、部族民政府からすれば、自らの対象エリアに住む人々が、近接する外部の州、部族民政府のカジノ施設を訪問し、お金を落とす状況を看過できません。この結果、州政府、部族民政府が設備増強合戦を繰り広げたわけです。

これは、マカオ(本連載の第3回)、シンガポール(第4回)とは対照的です。アジアの主要市場では、中央政府がカジノ施設の総量を適正にコントロールしています。日本も中央政府がカジノ施設数を厳格にコントロールする方向です。日本は島国であり(国際競争の影響を受けにくい)、自国民の市場が大きいため、総量コントロールが有効に機能する見通しです。

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