ネトウヨは、卒業することを知らない

湯浅誠×やまもといちろう リベラル対談(前編)

やまもと:一方で「放射脳」の人も、セシウムが基準値を越えたから、もう3年後には日本人の大半が死滅します、みたいなことを言う。リテラシーのある人はおかしいだろって気づくようなことでも、軽薄で根拠のない議論に惑わされちゃう。

根が真面目なネトウヨも、少し真面目に考えりゃわかることを煽られて鵜呑みにする。ちょっと調べれば、在日特権とか言われているものもガセネタが多いわけですよ。そんなものが、さもあったかのようなネットの言説に惑わされて、自分で検証することなく信じた結果、「韓国人に虐げられている日本人は立ち上がるべきだ」と言うわけですよ。それはもう、ほんと少し考えたほうがいい。むしろ、それが事実だとしたら日本人は韓国人より余程劣っていることをネトウヨ自身が認めてしまっていることになるじゃないですか。

湯浅:たしかに、全くの嘘がまるで真実のようにで出回ることもありますよね。

やまもと:ただ彼らが悪意を持ってやっているかというとそうではなくて、善の善たる動機です。ネトウヨも「放射脳」も、真剣に自分や家族や社会のことを考えて行動している。ピュアに、自分の得た情報は正しくて、活動が正義だと思っている。だからそこは、かわいそうというか、もったいない….。

ネトウヨは卒業を知らない

湯浅:その人たちに軌道修正するためのメッセージを伝えるのは、やまもとさんが適任かもしれませんね。私が何か言っても、その人たちには届かないから。

やまもと:でも彼らは軌道修正する情報には食いつきません。

湯浅:なんとかならないかな?

やまもと:ネトウヨの恐ろしいところは、卒業を知らないことですよ。普通、自分のしていることのバカバカしさに途中で気付くでしょう。

湯浅:平均年齢はどれくらいですか?

やまもと:一昨年に、調査会社さんの協力が得られたので一週間統計を取ったことがあります。「日本文化チャンネル桜」という右翼系のすてきな動画サイトの調査をする機会があって、興味があったのでGoogleのサービスやパネル調査で分析したら、42歳から46歳にでっかいボリュームゾーンがありました。

もう一つのもう少し小さいボリュームゾーンは、18、19歳から20代前半ぐらい。80歳以上にもなってかじりついている根っからの民族主義者もいましたね。そのときは太平洋戦争に関する動画を流していた日も含まれていたためか、偏りはあったのかもしれませんが、全年代にそういう民族主義者という層はいます。

民族主義的価値観の人たちは各年代層に1%から2%前後くらいのものですが、ウェブで発言するので存在が目立つ。ただタコツボなので、なかなか横には広がらないという傾向がありますね。

湯浅:卒業しないということは、時間がたてばたつほど確実に増えていくわけですか?

やまもと:「退室」はないですね。ネット右翼的な行動原理とか行動様式を持っている人たちは、やめませんね。だけど増えない。ずっと同じような主義主張をもって大人になり、老人になるんだと思います。

湯浅:まあ、ネットの世界だから、暴走族とかと違って、体がきつくなったりしませんものね。暴走族はやっぱり中年になると、だんだん夜中走り回るのが辛くなってくるから(笑)。

やまもと:(笑)

湯浅:ただ彼らが悪意を持ってやっているかというとそうではない。善の善たる動機なんだと、やまもとさんがおっしゃるなら、なんとか、そのパワーを、本当の意味での良い方向にもっていけないもんですかねぇ。

(構成:長山清子、撮影:今井康一)

後編は「2030年、老人も自治体も"尊厳死"しかない」
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