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2030年のディストピア
やまもと:私ずっと、湯浅さんに聞きたいことがひとつあって。
湯浅:はい。
やまもと:たぶんわれわれは2030年ぐらいまでに、ディストピア(反理想郷)を経験すると思います。それこそ300万人以上出てくるであろう独居老人とか、400万人近くいるであろう認知症患者とか、彼等を一人一人救済していけないじゃないですか。
湯浅:ええ。
やまもと:地域も政府も支えられないから、凄まじい数の「こんなはずじゃなかった」という人たちが出てくると思います。そうなったとき我々は何ができるのでしょうか。私、日本に生きる納税者として、けっこう悩んでるんですよ。
今はまだ本当の意味での貧困は25万人から40万人ぐらいですけど、それ以外に生活保護を受けて暮らしている人が200万人ちょっといる。それが2030年ごろにおそらく3~4倍になるわけですよ。
湯浅:本当の貧困が25万人から40万人というのは、どういう人のことですか?
やまもと:まったく暮らせない人。もう明日の金がない人。生活保護手帳を持ってるけど、法的サービスだけでは難しいので、家族や地域、地縁から援助してもらって、どうにか暮らしてる人たち。僕らの見えてる範囲内に、それくらいいるんじゃないかという推計を出したことがあるんですが、彼らはもう、どうしようもないんですよ。
湯浅:どうしたらいいか。そうですね…。少なくともそうなることは、私たちには1990年代からわかっていました。
だからもうちょっと現実を直視しようと、この20年間言い続けてきた。その結果よくわかったのは、人間にとって最も難しいことは、現実を直視することだということ。だからもう直前になってから、「こんなはずじゃなかった」と騒ぎ出すしかないと思います。
やまもと:そうなの?(笑)。
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