京急がめぐらす、品川再開発の深謀遠慮 羽田―品川10分も夢じゃない?

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高輪口方面には京急の保有する施設も多い

これが完成することで、JR線との移動距離短縮など、乗り換えのストレスが解消するものとみられる。加えて、現在の2ホーム3線では難しかった、特急などの優等列車の待避や待ち合わせが可能となり、鉄道運行の機能も大幅に改善すると考えられる。

さらに、ホームの地平化によって2階のスペースが空くため、第一京浜(国道15号線)を越えて東西自由通路を高輪地区まで伸ばすことができる。同地区といえば、西武グループの運営するプリンスホテルが有名だが、商業施設「ウィング高輪WEST」や、ホテルも入居している複合施設「SHINAGAWA GOOS」など、京急の保有施設も多い。現在、道路を渡るためには、歩道橋を使うか、信号待ちを強いられるが、これらの施設と駅が信号や階段なしに結ばれることになる。

開かずの踏切がなくなる

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“開かずの踏切”として有名な八ツ山橋の踏切

ガイドライン案に盛り込まれているもう1つの項目は、品川第一(八ツ山橋)踏切の解消だ。

品川駅の南側にあるこの踏切は、1日に上下700本以上の列車が走り抜けるため、“開かずの踏切”となっていた。すでに品川駅の2つ先にある新馬場駅まで高架になっているため、この高架を延伸させ、八ツ山橋を越える形に変更することが検討されている。

踏切解消の効果は、東西の往来をスムーズにするだけではない。この踏切付近の線路はS字のカーブとなっており、通過に際しては低速運転を余儀なくされている。このカーブも同時に解消されれば、品川駅まで高速のまま進入することが可能になる。

そうなれば、現時点でも最短12分で結んでいる羽田空港(国際線)―品川駅間(12.5キロメートル)の運行時間が短縮されることは間違いない。ほかの区間のスピードアップも必要になるだろうが、「所要時間10分」という数字も見えてきそうだ。

さらに、京急品川駅の駅舎や京急第10ビルなどが建つ西口(高輪口)付近は、都のガイドライン案では「品川駅街区地区」に定められており、オフィスや商業施設など複合ビルの建設が想定されている。具体的な都市計画はこれからの協議に委ねられるが、相応の規模のビルが品川駅に誕生することになりそうだ。

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