ヤフーを射止めた西武・赤プリ再開発の遠望 鉄道系ビルにIT企業の入居が相次ぐワケ
赤プリ跡地に、あの“爆速”IT企業がやってくる――。西武ホールディングス(HD)は6月19日、2016年夏に完成予定の「紀尾井町プロジェクト」のオフィス部分に、インターネットサービス大手のヤフーが入居すると発表した。
同プロジェクトのオフィス部分は、全体で約11万平方メートル、24フロア。そのうちの20フロアを、ヤフーが本社として賃借する。共用部分を除けば、2万坪(6.6万平方メートル)がヤフーの入居スペースになるもようだ。
グランドプリンスホテル赤坂(通称、赤プリ)の跡地を再開発し、ホテル・オフィス棟、住宅棟から成る複合施設を建設する紀尾井町プロジェクト。2013年に赤プリを取り壊し、3万平方メートルの土地に現在、延べ床面積23.1万平方メートルのビルを建築中だ。オフィスのほかに、プリンスホテル(約250室)、賃貸住宅、飲食店、スーパーなどが入居する。
分散するオフィスの集約が狙い
ヤフーが本社移転に踏み切った背景には、業容の拡大に伴い、2003年から入居してきた東京ミッドタウンが手狭になってきたという事情がある。移転によって現在の1.37倍の床面積を確保できるうえ、ミッドタウンや六本木一丁目のアークヒルズ・サウスタワーに散らばっていた部署や従業員を1つのオフィスに集約できるメリットがある。「都心部に20フロアもまとめて確保できる物件は限られた」(ヤフー広報)。
みずほ証券の石澤卓志チーフ不動産アナリストは「業容拡大に伴う前向きな移転。新築ビルはBCP(事業継続計画)対応などの点で最新の設備が整っており、安全性でのトータルコストで考えれば、新築物件はメリットが大きい」と解説する。賃料などの条件面については不明だが、紀尾井町のある赤坂・永田町地区は東京ミッドタウンが建つ六本木に隣接していることもあり、賃料相場に大きな差はないとみられる。
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