なぜ軍隊なのに、命令なしで勝てるのか

米海軍屈指の潜水艦長に聞く、最強組織の作り方(上)

著者(左)と『7つの習慣』の著者・コヴィー博士(写真提供:US Navy )

「ハリウッド映画のようなおもしろさ」「組織が劇的に変わるドラマ」と各誌が大絶賛! アメリカでもロングセラー、日本でも発売後すぐに増刷を重ねる勢いで話題となっている『米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方』の著者に、新しい組織のあり方を聞いた。
(2014年6月末、メールでのインタビューを編集部が再構成、文責編集部。翻訳:花塚恵、協力:タトル・モリ エイジェンシー)

委ねるリーダーシップで、実戦を戦えますか?

――マルケさんは、軍隊という組織にありながら、上官(上司)が部下に命令を下すリーダーシップを否定されています。そして、部下に権限を下ろす「委ねるリーダーシップ」を推奨されています。今回の本を読むと、委ねるリーダーシップが本当にすばらしいやり方だということがよくわかります。しかし、あえてうかがいたいのですが、命令を排除した軍隊で、本当に実戦を戦えますか?

写真提供:US Navy

もちろんです。戦闘は複雑かつ流動的で、最前線の状況は刻一刻と変化していきます。いわば「銃弾の音がする」ところに、最新の情報があるのです。私が本のなかで提示した「委ねるリーダーシップ」は、「情報を上にあげる」のではなく、「情報があるところへ権限を下ろす」ことを奨励しています。勝ちたいなら、情報があるところに意思決定の権限を与えることです。これが21世紀の勝ち方です。

 サダム・フセインのイラク防衛軍について考えてみましょう。この軍はフセインの司令部による中央集権的な統制の下にありました。しかし司令部が情報を更新するより早く状況が変化していったので、司令部は適切な判断ができませんでした。情報の伝達ラインが遮断されると、現場のイラク軍は混乱し、戦闘力を失ってしまったのです。
 
 中央集権的な司令部が複雑な戦闘環境をコントロールできるという発想が許されるのは、コンピュータ・ゲームの中だけです。
 
――演習と実戦は、異なるのではないでしょうか?
 
 実際には、ほとんど差はありません。演習と実戦が異なるものだとしたら、それは演習ではなく、ただの訓練です。
 
――実戦ではやはり、傑出した一人のリーダーが仕切ったほうが、よいのではないでしょうか?
 
 いいえ。それは、命じるリーダーシップの思考法にとらわれた考えです。まず、「傑出した」リーダーを認識し選び出せるのか、という問題があります。
 
 次に、そのリーダーがどれだけ優れていたとしても、すべての情報を把握することはできない、という問題もあります。「銃弾の音がする」現場で起きていることをすべて知ることなど決してできないのです。
 
 傑出したリーダー(司令部)により多くの情報を届けようとする試みは、遅れと歪みとボトルネックを生じさせます。そうではなく、リーダーは情報のあるところに権限を下ろすべきです。

 そして、現場の人間の技術的能力を向上させることと、組織としての目標を彼らに正しく理解させることに注力するのです。そうすれば、現場で組織のためになる決断を下せるようになります。

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