「バーガーキング」日本で最近人気が急上昇のワケ 若者の間で知名度がぐんぐんアップしている

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ビーケージャパンホールディングスでマーケティングディレクターを担当する野村一裕氏(筆者撮影)

2社がそれぞれ担当していた機能がようやく統一されたのが2019年。新体制のもと、不採算店舗20数店舗を閉店するなどの改革が行われ、歯車が回り始めた。マーケティング部門を野村氏が担当するようになったのもこの時期だ。

最近、バーガーキングが急に頭角を現してきたような印象があるが、その裏では大きな変化が起こっていたわけだ。

野村氏によるSNSを活用したブランディングのコツは、自らツイートしないこと。ユーザーが発見して拡散してくれるようなネタを、広告や商品を使って発信し続ける。これによりファンの裾野も広がった。

ファン層の年齢が下がってきている

「もともとのコアなファン層は40代男性。価格設定が日本のほかのチェーンに比べて高めという理由もありますが、海外出張で食べたことがきっかけになった方も多いと思います。日本にもあるマクドナルドより、珍しいチェーンで食べてみようという(笑)。そして食べてみると、直火焼きで肉の味がしっかり感じられておいしいと。

今はファン層の年齢が下がってきて、やはりSNS戦略のど真ん中である20〜30代になっています。また、以前より『高い』という印象が薄くなっているのも、若いファンが増えている理由でしょう」

定番商品のワッパー(490円)。100%ビーフのパティを直火焼きに。火に炙られることで、クセになる香ばしい味わいになる(筆者撮影)

価格については、まずリーズナブルなチェーンというイメージのあるマクドナルドが高価格帯の商品に力を入れていることが理由に挙げられるだろう。バーガーキングの定番商品ワッパーは490円(Jr.は360円)だが、マクドナルドの高価格帯商品であるサムライマックも490円だ。

【2021年5月31日10時40分追記】ワッパーの価格に誤りがあったため、本文とキャプションを修正しました。

また、コロナの影響による飲食スタイルの変化も後押ししている。

「デリバリー需要が増えて、出店数や立地面でのデメリットが以前に比べて感じられなくなった。同じデリバリー料金を払うなら、どこにでもあるマクドナルドでなくて、バーガーキングにしようかな、と選択してもらえるようになったのかなと思います」

アグリービーフバーガーシリーズは、20年9月のチーズアグリービーフバーガーから始まり、チリビーンズ、チキン、テリヤキ、シュリンプと5種類。1つの商品の発売から次の発売まで1カ月程度と矢継ぎ早に繰り出しているのは、話題の鮮度を保つためだ。新商品は発売後2〜3カ月すると売れ行きが自然に落ちるが、その前に次の新商品を投入して売れ行きの低下を防ぐ作戦という。

同チェーンは2020年に23店舗を出店、21年はさらに30〜50店舗の増加を見込み、出店攻勢をかける。1996年の初上陸から20年以上を経て、ようやく波にのったバーガーキング。まずは200店舗の壁を越えられるかが勝負だ。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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