「バーガーキング」日本で最近人気が急上昇のワケ 若者の間で知名度がぐんぐんアップしている

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チーズアグリービーフバーガー(740円)。バンズは4種類のチーズを採用し、発酵前、焼成前の2段階でトッピングすることで、チーズの味と香りをより高めた。香ばしく、野性味があるビーフパティとチェダーチーズ、野菜などが見た目より味重視で詰め込まれている(筆者撮影)

最大の特徴はバンズそのものにチーズを練り込んだチーズバンズ。そして、バンズからはみ出さんばかりの直火焼き100%ビーフのパティだ。

なぜこのようなネーミングになったのか。ビーケージャパンホールディングスでマーケティングディレクターを担当する野村一裕氏は次のように説明する。

「バーガーキングが提供する商品は見た目より味にこだわることが大切。見た目を無理に整えないで、ありのままでいいじゃないか、というかねての思いが発想のもとになっています」

実際、アグリービーフバーガーの広告写真を見ると、バンズがデコボコしており、具材もいっぱいに詰められているためはみ出している。迫力満点だが、見た目が整っているとは言えない。4月30日に発売され、好評につき一部店舗では1カ月を待たず販売終了となったシュリンプ・スパイシーアグリービーフバーガーに至っては、醜いというより、中から宇宙人が出てきそうな形状である。

韓国でヒットしている商品がヒント

しかし、自社の商品にこうした名称をつけることに抵抗はなかったのか。商品開発マネジャーの荒川波奈絵氏は次のように語る。

新商品開発のマネジャーを担当する荒川波奈絵氏(筆者撮影)

「商品は自分の子どものようなもの。『私のかわいい子に醜いとは……』と提案を聞いたときは思いました。ですが、当社ではマーケティングと商品開発がチームでプロジェクトを進めています。その流れの中で最初から思いを共有していたため納得できました。これが、マーケティングと商品開発が別々に動いてきて、最後にこういう名前をつけられた、というのだったら違和感があったと思います」

実は同バーガーシリーズの大きな特徴であり、アグリーさを演出しているチーズバンズは同氏の発案。バーガーキングの韓国の店舗でヒットしている商品をヒントに開発を進めたそうだ。

「発想のもとになった商品よりももう少しチーズ感を出したかったので、パンの発酵前と焼成前、2段階でチーズをかけることにしました」

この製造過程は手間がかかりコストも上がる。しかし「おいしいものを作るのが目標で、コストのためには妥協しない。それに見合ったプライスをつける」という開発方針のため、コスト面で不安を感じることはなかったそうだ。

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