「ダイバーシティ」の目的は多様性を企業の成長に結びつけること--第3回ダイバーシティ経営大賞・パネルディスカッション

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 もう1つは、「なるべくコストをかけずに知恵を出せ」というのが鉄則です。実際、当社はコストをそんなにかけていません。今日ご紹介した中で、おカネがかかっているのは、International Women’s Dayに全女性社員を集めて行うイベントくらいです。

皆さんが実際に行われるときに、お金がかかるのは制度整備だと思います。たとえばベビーシッター代の補助や時短の促進をするとなると、コストに直結していきます。

当社では、働く環境でどんな困ったことが起きているかケース設定を行いました。どういう場面で、どういうときに、社員が会社に助けてほしいと思っているか。それを解消するとどれだけ効率よく仕事ができ、退職しないで済むかなどをそれぞれ設定していきました。

一例として、ベビーシッターの金額サポート制度を導入しようとしたときのことについてご説明します。当社の社員は多くがコンサルタントですので、急にトラブルが起きると、保育園に迎えに行く時間になっても、顧客とミーティングしなければならないことがあります。そうしたケースをきちんと洗い出し、それに対して会社が何をすれば、社員たちが仕事をするのにいい環境になるかを考えました。

このためには、いま頼んで、今日来てくれるベビーシッターが必要となります。そこで、まず対応してくれるベビーシッターの会社を探しました。さらに、実際には、ここまでのケースが発生するのは月に1、2回程度ということがわかり、それを補助するためのコストを考えました。そこまでを経営陣に提示して初めて経営判断が入ります。

このように、効果としてベネフィットをダイバーシティの視点で置き、管理職あるいは経営者と共有すること。また、なるべくコストをかけないで、工夫すること。どうしてもコストが発生する場合は、「具体的にどういう課題に対して何を解消したいので、それにいくらかかるのか」をきちんと整理して、その上で必要となるおカネを提示して説明していくことが大切です。

■質問4

司会 ありがとうございます。次の質問は、大和証券グループさんの19時定時退社についてで、「そんなことできるの?」というものです。大和証券グループさん、お願いします。

村瀬(大和証券グループ本社) 大事なのは、最初はある程度強制力が必要ということと、趣旨を徹底して伝え続けるということだと思います。

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