1年目年収が同級生の3倍!タクシー新卒の真実 年収1000万円を超えるエースに成長した人も

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両親からは「女性がタクシー業界で働くのは危ない」「なぜ大学まで出したのに」と猛反対を受けた。中学、高校、大学と私立に進学してきたこともあり、タクシー会社で働くなら学費を返せ、とまで言われたという。それでも、西勝さんは反対を押し切り入社を選択している。「そこまでいうならお金を稼いで見返してやる」と逆境を力に変えたと回顧する。

「両親は公務員で安定志向。『タクシーの仕事なんか最終就職先』だろ、とも言われました。ただ、学生時代でバイトをしている時から、仕事を頑張る人とそうでない人の給料が一緒というのが我慢できなかった。それを親に証明するために、1年目から死ぬ気で頑張り、他業種の同級生の3倍以上を稼いでいました。学費の分も親に返金している最中です。

あれだけ反対していた両親も1年目の年収を見てからは何も言わなくなり、今では応援してくれています。私はとにかく飲んだり買い物したり、遊ぶのが好きで、時間もお金もできるだけ欲しい。最初はお金を稼いだらやめようと思っていましたが、仕事にハマってしまった。『今日はこの場所が動きそう』という読みが当たると、ゲーム感覚で楽しんでいます」

長期的に稼げるドライバーは新卒の比率が高い

国際自動車の広報担当者によれば、長期的にみると稼げるドライバーは新卒の比率が高いという。同社には新卒で採用された後、経験を積み、業界にもほんの一握りしかいない年収1000万円超のエースドライバーになった人が複数いる。

西勝さんも稼ぐドライバーの筆頭であり、コロナ前は1日平均8.5万円程度、マックスで11万円を稼ぎ出していた。その功績もあり、わずか4年で事業所の班長(リーダー)に抜擢されている。

「ベテランたちの聖域と化しており、新人が飛び込みにくい銀座エリアを狙って走っていました。お客さまに女性と分かると乗車拒否されたり、容姿のことを言われたり、たくさん悔しい思いもしてきました。

でも、それ以上に得るものが大きかった。乗車される方は社長さんや銀座で働くホステスさんが多いんです。普段絶対に話せないような社長さんには、ビジネスの世界の深みを教えていただいた。その経験は班長としてマネジメントをすることにも活きています。

自分の父親よりも年上の方に指導するわけですから、難しい部分もあります。女性だから、と舐められるような態度をとられるようなこともあるし、『昔からこうやってきた』と凄まれると何も言えない。ただ、タクシー業界は変わらないといけない局面を迎えている。私たち若い世代が声を挙げて、行動して変えていくという責任感も芽生え始めてきました」

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