ミクシィ朝倉氏が描く「次のキャリア」とは? 2020年東京五輪への出場にも照準

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塩野 そもそも、昨年、ミクシィ全体の経営を任せたいと言われたときは、どんな気持ちでした?

朝倉 ある日いきなり「やってくれ」と言われたわけではなく、それまでの積み重ねの延長だったので、「そうですか」という感じ。正直いって、いつどのタイミングで「代表を交代してくれ」と言われたか、覚えていないくらいです。

塩野 じゃあ、即答ですか。「やってくれ」「やります」みたいな。

朝倉 即答です。「そういえばちゃんと言ってなかったけど、社長やってくれるんだよね」「ええ、やります」というような。

内側に染まりすぎないようにした

塩野 経営トップになるにあたり、外からパラシュートで来た人間として、気をつけたことはありますか。

朝倉 そうですね。もともと外の人間ではあるので、どうやって内側の状態を把握して、そこにコントロールを効かせるかには気をつけました。そしてそれと同時に気をつけたのが、内側に染まりすぎないということですね。

塩野 なるほど。トップになってから、一番キツいな、厳しいなと思ったのは何ですか。

朝倉 いろいろありますけど、ほとんどは自分自身の期待値をコントロールすればいいだけの話です。就任前から辛いのはわかっていましたから、何が起きてもとりあえずは想定の範囲内。でも絶対にイヤなことが二つありました。一つは株主代表訴訟を受けること、もう一つは逮捕されること。

塩野 それはイヤですね(笑)。

朝倉 株主代表訴訟のほうはガバナンスをしっかり効かせて、粉飾のような違法行為を絶対に許さず、善管注意義務を怠ったりしなければ大丈夫。後者については、目立つことが即逮捕に繋がるわけではないけれど、あまり目立ち過ぎないように心がけました。

僕は去年の社長就任時こそ各メディアに出ましたが、それはご挨拶、顔見世のためです。その後は決算発表のときしかメディアの方に会っていません。あとはテレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』に1回、『週刊東洋経済』に1回出たくらいで、取材や出演依頼は基本的に全部お断りしていました。だってメディアに露出してもいいことは何もない。

しかも僕は、ただでさえ素材として面白い。東大法学部卒でマッキンゼーにいた30歳そこそこのガキンチョが、知名度の高いネット企業で社長やっているなんて。

塩野 しかも、もと競馬の騎手志望でね。

朝倉 新興産業の軽薄な若造と思われて、エスタブリッシュメントの人たちから反感を買う可能性は十分あるので、そういうネタにならないためにも、経済誌と新聞の全国紙以外の取材は基本的に受けませんでした。ライトな雑誌に出ようものなら、何を言われるかわからない。

塩野 たちどころに「ネオヒルズ族」に仕立て上げられるでしょうね。自分から「軽薄な若者です」と宣伝するようなものです。

朝倉 就任時は取材を受けざるを得ないけれど、しばらくしたら取材を受けるのはやめようと決めていました。業績が厳しくなるのは前から予期できていましたし、そういうときに目立っても、針のむしろです。

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