人気菓子の一斉値上げに潜む、甘くない現実 「チョコボール」「コアラのマーチ」容量削減のワケ

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チョコレートなどのカカオ加工品は嗜好品であるため、新興国の所得増加に伴い、世界の消費量は拡大が続く。一方で、需要動向が世界の景況に左右されやすい商品でもある。

過去30年のカカオ豆磨砕量(需要量)の平均伸び率は3%程度で、1%以上のマイナス成長を記録したのはITバブルが崩壊した2001年度と、リーマンショックが起きた2008年度の2回だけ。昨今の世界的な景気回復も、需要増に拍車をかけている。

国際ココア機関は2月、今年度(2013年10月~2014年9月)の需要予測を発表。カカオ豆生産量が需要量を11.5万トン下回る見通しであるとした。これを受けて、商品先物市場で投機目的の買いが増え、足元の相場高につながっている。5月30日に需要予測が修正され、供給不足分は7.5万トンに下振れしたものの、相場はなお高水準だ。

過熱するカカオ争奪戦

需要の急増を受け、世界的なカカオ豆の争奪戦も激しさを増している。

シンガポールの農産物商社大手、オラム・インターナショナルは5月、インドネシアでのカカオ豆加工の新工場建設に6100万ドルを投じると発表した。インドネシアは世界第3のカカオ豆生産地であり、消費地としても拡大中の市場だ。大手菓子メーカーによるカカオ豆の加工委託量は増加傾向にあり、オラムはその流れに対応する。

同様に、農産物商社の米カーギルも1億ドルを投じ、インドネシアにカカオ豆の加工工場を今年稼働させる見込みだ。

とはいえ、世界のカカオ豆生産の9割が5ヘクタール以下の小規模農家によるもので、飛躍的な生産性の向上は難しい。供給不足の根本的な解決には、「生産国側の取り組みだけでなく、食料メジャーなど消費国側も一体となった取り組みが求められる」と、日本チョコレート・ココア協会の藤田康子氏は指摘する。

「週刊東洋経済」2014年7月5日号<6月30日発売>掲載の「価格を読む」に一部加筆)

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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