2014年後半の日本経済を占う 投資や輸出好調だが、人手不足などの懸念材料も
2014年後半、日本経済はどうなるのか?
アベノミクス2年目となる2014年も折り返し地点を過ぎた。4月の消費税率引き上げを前にした駆け込み需要、その後の反動減と大きく揺れ動いている日本経済。「7~9月が元の成長軌道に戻ることができるかどうか、十分に見極めて判断したい」――。2015年10月に予定されている消費税率10%への引き上げについて、安倍晋三首相はこう話す。6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」には、その判断を今年秋に行うことが明記されているが、2014年後半の日本経済はどう見るべきか。
今年1~3月のGDP(国内総生産)は前期比1.6%増、年率換算では6.7%増と、東日本大震災以降最大の伸びとなった。4月以降はその反動減により、成長率はマイナスとなる見込みだが、その落ち込みは1997年に消費税率が3%から5%に引き上げられた後よりも小さいようだ。個人消費が落ち込んでも、企業の設備投資は引き続き旺盛で、輸出も増えている。そのため、7~9月には回復軌道に乗る見通しである。
ただし、懸念要因もある。1993年の記録的冷夏のような異常気象や、2008年に見られたような急激な原油価格の高騰、そして、深刻化する人手不足が、この景気好転に水を差すおそれは否定できない。
人手不足が景気に水差すか
特に人手不足は深刻だ。今年前半は外食業界で営業時間短縮や休業に追い込まれる店舗が相次ぎ、建設業界でも未消化工事が積み上がった。今年後半は、景気対策の公共事業執行が増えてくるが、その予算が消化できないという事態にもなりかねない。ドライバー不足で企業の物流コストは上がり始めており、エンジニアの採用難に苦しむIT業界では、開発案件の遅延も出ている。こうしたことが全体の賃金上昇につながれば好循環につながるが、企業がデフレ下で築いた低コストオペレーションのビジネスモデルを転換しない限り、物価上昇が消費を押し下げる可能性もある。
産業界でも、今年後半はさまざまな動きがある。自動車業界では、トヨタ自動車が世界販売台数1000万台を突破し世界一となったが、独フォルクスワーゲンや米ゼネラル・モーターズがすぐ後ろに迫る。今年トヨタが足踏みをしている間に、追い抜かれる可能性は十分にある。テレビの売り上げ激減により痛手を負った電機業界は、次の一手として一斉に車載向け事業を拡大している。だが、それが収益柱を担うまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。
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