アベノミクスの第3の矢である「成長戦略」について、6月24日に閣議決定が行われた。いわゆる成長戦略については、個々の政策メニューが重要である。
ただ、6月9日のコラム「『成長戦略』には、幻想を抱くな」でも述べた通り、すでに大手メディアが霞が関からの「リーク記事」を連発していたこともあり、投資家のセンチメントを好転させるような、新味のある材料にはならないだろう。
成熟した日本経済に「官製」の成長戦略は必要か
長期的な経済成長率を高めるために政府ができることは、「民間企業による自由でダイナミックな経済活動を邪魔しない」、「公正でかつ時代の変化に対応したルールや規制を定める」、といった環境整備である。政治家や官僚が有望ビジネスを展望するような「戦略」などは、そもそも成熟した日本経済にとって、大して必要ではない。
そして環境整備の基礎となる、ルールや規制の策定は、本来、担当官庁と業界との日頃のコミュニケーションなどを通じて、地道に作り上げられるものである。現場の事情を熟知していない政治の介入が強まることで、そうしたルール作りがうまくいくのか、正直なんとも言えない。
もちろん、業界慣行に固執する既得権益者と規制当局の間の結託が強いケースは別であり、時に荒療治も必要となる。時代遅れのルールや慣行が変わらず、新たなビジネスを邪魔しているケースはいつの時代も存在する。医薬品のネット販売規制などが、代表例としてあげられる。こうした不要な規制についての緩和は、政治のリーダーシップで変革される必要がある。
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