奥歯がない人ほど認知症になりやすい衝撃事実 1本なくなるだけでボケが始まり、ボケが進む

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人間の歯は口の中に入った食べ物を噛み切り、砕き、すりつぶすためにあります。歯には、大きく分けて前歯(切歯)、糸切り歯(犬歯)、奥歯(臼歯)があり、それぞれ次のような役割があります。

・前歯(切歯)
歯列の中央にあり、おもに食べ物を噛み切ったり、ちぎったりする役割があります。また、前歯の有る無しは、顔の表情・印象を大きく左右するとともに、発音(とくにサ行の言葉をいうとき)にも大きな影響を与えます。

・糸切り歯(犬歯)
前歯と奥歯の間にある、おもに食べ物を切り裂く役割がある歯です。犬歯はほかの歯よりも歯根(歯ぐきに埋まっている歯の根元の部分)が長く、強度があるのが特徴です。これは、歯が横からの力に弱いため、歯ぎしりなどの際、上下に長い犬歯が最も触れ合うことで、前歯や奥歯に負担がかかるのを防いでいると考えられています。

・奥歯(臼歯)
歯列の奥にあり、おもに食べ物を噛み砕いたり、すりつぶしたりする役割があります。奥歯には手前側の小臼歯と奥側の大臼歯があり、小臼歯は上下左右2本ずつ、大臼歯は親知らずといわれる第三大臼歯を入れると、上下左右3本ずつ、合計12本あります。親知らずは生えてこない人もいます。

このように歯にはそれぞれに役割があり、1本失われただけでも、さまざまな不具合が生じます。なかでも、健康寿命を大きく左右するボケや転倒、生活習慣病などの予防という観点でいえば、奥歯、なかでも大臼歯の有る無しがとくに重要になってきます。

奥歯1本ないだけで「噛み砕く力が40%低下」

昔から伝わる健康法に「ひと口30回くらい噛む」というのがありますが、それは奥歯があってはじめて成り立つこと。実際、大臼歯が1本無くなっただけで、ものを噛み砕く能力が40%も低下するといわれるほどです。そのため、本記事で奥歯というときは、とくに断り書きのない場合は「大臼歯」のことを指すものとします。

大臼歯は、ほとんどの哺乳類において歯列の一番後方(人間では小臼歯の後ろ)にある
臼の形をした歯です。通常、食物を噛み砕き、すりつぶす用途で使われます。

永久歯は合わせて28本、親知らずを入れて32本ありますが、上下左右の大臼歯2本ずつ(計8本)を失うと、残りが20本となります。

予防歯科学の研究でも、20本以上歯があるとたいていのものを噛むことができ、食生活を不自由なく送れることがわかっています。

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