資生堂、「7年ぶり最終赤字」からの復活戦略 スキンケアを強化、カギは日中の市場攻略

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縮小

これに対し、欧米事業は撤退や売却が予想される。資生堂はアメリカのファンデーションが主力のベアミネラル買収のほか、ドルチェ&ガッバーナやトリーバーチとのライセンス契約を締結し、積極的に欧米事業の拡大を図ってきた。しかし、業績は低迷が続き、ここ数年は欧州事業、米州事業とも赤字を計上している。

また、魚谷社長が「マーケティング費用をもっと増やしていく」と明言する中国市場では、競争が激化している。資生堂のシェアはロレアル、エスティローダー、P&Gに次ぐ第4位(2019年実績)にとどまる。

中国で台頭する新興勢力

イギリスの市場調査会社ユーロモニターによると、中国のスキンケア市場は2020年に366億ドルとなり、2015年から2020年の5年間で60%近く成長してきたが、近年は中国の地場メーカーも存在感を増してきた。

その筆頭ともいえるのが、「Winona」だ。2020年はTmallで開催されたダブルイレブンの化粧品部門の売上高で資生堂に次ぐ9位を獲得した。親会社の「雲南貝泰妮生物科技集団」は2010年に設立されたばかりだが、敏感肌に訴求したスキンケア製品を武器に中国市場で存在感を高めている。2019年12月期の売上高は19億元(310億円)。ここ2年は、年率6割近いペースで売上高を伸ばしており、市場の成長率を大きく上回る。

資生堂の復活戦略のカギを握るのは国内と中国の動向になる。国内では消費者との接点を保ち、競争が激化する中国のスキンケア市場ではブランド力をさらに高め、シェアを拡大していく必要がある。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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