大きな"インパクト"こそベンチャーの使命

ラクスル・松本恭攝CEOと語る(上)

 日本に骨太のベンチャーをつくる――。
 本連載の著者・伊佐山元氏のミッションのひとつは、シリコンバレーと日本をつなぐ、大企業とベンチャーをつなぎながら、骨太のベンチャーをつくること。昨年末、伊佐山氏が共同創業者のWiLは10社を超える大企業から3億ドル(約300億円)の出資を受け、ファンドを組成した。同ファンドが今年2月、リードインベスターとして計8社で、総額15.5億円の出資を決めた会社が、今回の対談相手であるラクスルの松本恭攝社長である。
 印刷業界の革命児として知られ、印刷会社1700社以上と提携し、工場の非稼働時間を使ったECのビジネスモデルを打ち立てて、成功を収めている。今回は、投資家と起業家というそれぞれの立場から、ベンチャーについて語っていただく。

われわれ主導で15.5億円を出資したわけ

――お2人の出会いと、出資を決めた理由を教えてください。

伊佐山:最初は昨年の春、WiLの共同創業者である西條からの紹介で一緒に渋谷でランチさせていただきました。松本さんが資金調達に動こうとしていたときでした。その後、何度かお会いさせていただき、今年2月にわれわれがリードインベスターとなり、8社で15.5億円の出資をしました。

ラクスルは、われわれが昨年末にファンドを組成してすぐに出資を決めた1社ですが、出資を決めた理由は、いくつかポイントがあります。あえて3つに絞るとすると、ひとつは事業です。ラクスルは日本各地の印刷会社をネットワーク化し、非稼働時間を活用することで、低価格な印刷のEコマース事業を展開しています。日本の印刷業の6兆円というビジネス規模の中の無駄、使用していない数多くのキャパシティを束ねて、スケーラブルなビジネスを行うという着眼点。それは、今、タクシー業界のUBER、旅行者向け貸室のAirbnbといったほかの業界で成功している共有経済(シェアリングエコノミー)のビジネスモデルであり、投資テーマとして面白い。さらに、ラクスルは、印刷というドメスティックで地味で泥臭くアナログな業界でやろうとしている。非常に伸びそうな分野と新しい方法の双方に目をつけたセンスですね。

2つ目は松本さん個人ですね。松本さんは外資系戦略コンサルタントとして、複数の企業のコンサル経験から問題意識を持ち、起業につなげていきました。「なんとなく起業を」――ではなく、実際の仕事の経験をベースに問題解決をしようというベンチャーを始める王道での起業。そして、非常に経営マインドを持っている。僕は今後、松本さんのようなバックグラウンドを持ったベンチャー経営者が増えてほしいと思っています。

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