あのビル・ゲイツが「トイレ革命」に挑戦する訳 2億ドルを投じて新しい汚水処理装置を開発

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2018年11月6日、LIXILはメディアや関係各社に次の見出しのプレスリリースを送っている。

「LIXILがビル&メリンダ・ゲイツ財団とともに家庭用に世界初の『Reinvented Toilet』試験導入に向けパートナーシップを締結」

「Reinvented Toilet」とは、再発明されたトイレという意味。ドキュメンタリー番組で見た広場に置かれた試作品は住宅のように大きい。デザインは施されていなかった。自己発電でウンチを処理し、しかも飲用水もつくるという機能は完成した。しかし、まだ製品化できる段階ではない。そこからのプロセスをLIXILが引き受けるという。実に夢のある事業だ。

製品化への第一歩へ

LIXILの発表文には、こう書かれていた。「株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、以下LIXIL)は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下ゲイツ財団)と世界初の家庭向け『Reinvented Toilet』を開発し、2つ以上のマーケットへ試験導入することを視野に入れた、パートナーシップを締結しました。LIXILは技術、デザイン、商品開発における専門家チームを結成し、世界中の民間企業と協働しながら、試作品のトイレの開発をリードしていきます」

Reinvented Toiletの一刻も早い商品化を、世界中が待ち望んでいる。その一方で、LIXILは、実はReinvented Toilet開発以前に、すでに発展途上国のためのトイレを開発するプロジェクトを行っていて、ゲイツ財団との交流もあった。

Reinvented Toiletに取り組む前、2010年代に入り、LIXILは開発途上国向け簡易式トイレシステム、SATO(サトー、SAfe TOilet)の開発にも着手していた。いかに少ない水で、いかにシンプルで、いかに衛生的で、いかに丈夫なトイレを低コストでつくるかというプロジェクトだ。

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