あのビル・ゲイツが「トイレ革命」に挑戦する訳 2億ドルを投じて新しい汚水処理装置を開発

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北京のトイレエキスポに出席したビル・ゲイツ(写真:AP/アフロ)
すっきり出して、流せば終了。しかし「トイレ」も「排泄物」も、じつは知らないことだらけです。まず、たかが排泄物などと、甘く見てはいけません。その処理は切実な問題だからです。実際、40億人がトイレのない生活を送り、それがもとで命を落としています。一方で排泄物を飲用水に変える、世界最先端技術も登場しています。ジャーナリストの神舘和典氏と、文藝春秋前副社長で編集者の西川清史氏があらゆる疑問を徹底取材し、上梓したルポ、『うんちの行方』を一部抜粋・再構成して紹介します。

開発途上国では、トイレの不衛生、あるいはトイレがないことによって感染症にかかり、多くの人が命を失っている。

そんな開発途上国の状況と本気で向き合っているアメリカの経営者がいる。ソフトウェアの世界的企業、マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツだ。彼は開発途上国の死者数を減らすために、約2億ドル(約210億円)の資金を投じて新しいタイプの汚水処理装置を開発した。

NETFLIXで明かされた2億ドル投資

そのプロセスは、アメリカの動画配信サービス、NETFLIXのドキュメンタリー番組『天才の頭の中 ビル・ゲイツを解読する リミテッドシリーズ パート1』で見ることができる。

「第3世界では水で死に至る」――『ニューヨーク・タイムズ』の記者、ニコラス・クリストフが書いたこの記事がきっかけで、ビル・ゲイツはトイレの問題に本気で取り組むことになった。

番組内の解説によると、世界には自宅にトイレを持たない人が40億人以上いる。アフリカ、南アジア、中南米には、屋外で排泄をせざるをえない地域が少なくない。

アフリカはとくに深刻だ。下痢によって年間300万人が命を失っている。幼い子どもの状況はとくにひどく、その12%が5歳の誕生日を迎えることなく息を引き取っているという。

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