夫と同業なのはメリット?デメリット? 東大卒・出版社勤務夫婦の日常

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「大宮さん、うちの会社にアンジェリーナ・ジョリーが中途で入ったんですよ。紹介させてください!」

あれは8年ほど前のことだった。付き合いの長い出版社に遊びに行くと、若手の男性編集者が興奮して話しかけてきた。僕が好きな女優はペネロペ・クルスなんだけどなあ、と思いながらも、前のめりで紹介してもらった。なるほど、すっきりと高い鼻と印象的な唇は確かにちょっと似ている。全体的に明るく押し出しのよい印象を受ける。東大卒で、外資系のコンサル会社を経て入社して来たという。まさにエリート美女だ。

今回の取材依頼にあたって澤木美保さん(仮名、36歳)に当時の記憶を伝えると、間髪入れずに否定してきた。

取材用に珍しく丁寧に化粧をして来たという澤木さん。「普段は毎朝5分で済ませます」

「全然、似てないですよね。というか、私はエリート美女ではありません。大宮さんにはお世話になっているのでご協力はしますけど……。似ているとよく言われるのは、押尾学です!」

うーむ、うまいこと言うなあ。いずれにせよ、はっきりとした顔立ちなのである。澤木さんが予約してくれた世田谷区のフレンチレストランですばらしくオシャレでおいしいランチをとりながら、愛知県での受験生時代から話を聞くことにした。

県内の私立中高に通っていた澤木さんが「東大受験」を意識したのは高校3年の春。身もふたもない志望理由だったと澤木さんは恥ずかしそうに語る。

「1年間も遊ばずに勉強に没頭するのだから、見返りが大きいほうがいいな、と思いました。女子でも就職に強くて、出張や転勤もあるような会社に入れる大学に行きたかった。名古屋大学を受験しなかったのは、実家を出たかったから。家族仲はいいのですが、夜まで遊んでいると『長女なんだから家の手伝いもしなさい』などと、しかってくる母から離れたかったのです」

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