「障害者の雇用」に積極的な企業ランキング100 コロナ禍で障害者雇用が「後戻り」する懸念も

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また、障害者雇用に関する調査・研究やダイバーシティ関連情報に特化したオウンドメディアを複数運営するほか、子会社でシングルマザー支援事業を行うなど、社会課題解決型の事業を広く展開している。

2位は食品トレー、弁当・総菜容器最大手のエフピコで、雇用率は13.60%(359人)。特例子会社のエフピコダックスや、就労継続支援A型事業のエフピコ愛パックなどを中心に、全国21カ所の事業所で障害者雇用に取り組む。また、取引先の障害者雇用サポートとして、工場見学なども実施している。

3位は独立系エンターテインメントのエイベックスだ。雇用率は11.25%(27人)。同社は、障害者に適した勤務場所として、バリアフリーのサテライトオフィスを設けるほか、障害者雇用支援の一環として障害者アスリートを雇用している。選手の活動状況をウェブサイトで発信するなど、広報活動にも積極的だ。また、障害者向けにカウンセラーを配置するなど、雇用の安定化にも取り組んでいる。

4位のボディメイク関連事業を手がけるMRKホールディングスは、持ち株会社化したことで、前年より単体の障害者雇用率が上昇したためランクインした。雇用率は7.75%(5人)。

5位は工場用搬送機器メーカーのキトーで、7.10%(36人)。同社は5カ年計画を策定して障害者雇用を推進している。山梨本社工場で設備のバリアフリー化を進めるほか、聴覚障害者向けの手話通訳派遣や支援機器導入にも取り組む。また、日本障害者スキー連盟とゴールドパートナー契約を締結するなど、障害者アスリート支援も展開している。

6位はユニクロを展開するファーストリテイリングで、雇用率は5.28%(1185人、回答はユニクロのデータ)。前年度比268人増と上位100位以内最多の増加数だ。同社は「1店舗1人以上の障害者雇用を目指す」という目標を掲げており、国内の約9割の店舗で障害のあるスタッフが働いているという。

職場での課題等についてはジョブコーチを中心に対応し、店長や地域正社員へは研修を実施するほか、人事部内に障害者雇用専任者を配置するなど万全のサポート体制を敷く。また、知的障害者にスポーツの機会を提供する「スペシャルオリンピックス日本」のナショナルパートナーを務め、ユニフォームの寄贈や運営支援も行っている。

コロナ禍での「働き方」が障害者の就労支援に

最後に、本ランキング上位100で最も雇用者数が多いのがセブン&アイホールディングスだ。特例子会社であるテルべやグループ会社など5社を中心に1237人を雇用する。グループ各社の採用・教育担当者へ障害者雇用関連ガイドを配布し周知を図るほか、子会社のセブン-イレブン・ジャパンでは就労支援の一環として、特別支援学校と連携した店舗実習なども行っている。

新型コロナウイルス感染拡大は多くの企業の働き方を変えた。コロナ禍は、満員電車に乗れない、会議室やオフィスに人が集まれない、などの疑似的な「障害」を社会全体に生み出したといえる。そして、それら解決するために時差出勤やテレワーク等を導入した企業も多い。こうした取り組みは、障害者の就労支援にもつながる。

障害者を含めた「誰もが」働きやすい環境の整備は、企業にとって多様な人材の確保や危機管理の面でも重要だ。コロナ禍をきっかけに、企業には障害者雇用の取り組みのさらなる深化を期待したい。

次ページ【表】障害者雇用率トップの1~50位は?
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