イオンがブームに着火、「格安スマホ」の行方 月額3000円を切るスマホはどこまで伸びるか
独自スマホの販売に乗り出した背景には、現場に寄せられた数々のユーザーの声がある。イオンは各携帯会社の代理店としてスマホを売り、MVNOのSIMカード販売も手掛けてきた。売り場では、携帯会社の料金の高さや長期利用者が優遇されないこと、解約金がかかることなどに対する不満の声があった。
そんな不満への答えになったのが、MVNOの先駆者である日本通信が投入した新プランだ。昨年11月、日本通信は音声通話が可能でデータ通信が無制限の「スマホ電話SIM フリーData」(月額1560円)を発売。すると、店頭では前年の数倍となる売り上げを記録した。同プランのヒットによって、低価格サービスへのニーズがあることを確信したイオンは、端末とSIMカードをセットにした格安スマホの販売に乗り出すことを決めた。
選んだ端末は12年11月発売の「Nexus4」(LG電子)。やや古い機種だが、SIMカードの種類を選ばずに使える「SIMフリー」で、一定の量を確保できたのがこの端末。市場在庫の全数を買い占めて用意したものだ。
第1弾が好評だったことで、イオンは今後も格安スマホを継続して販売する構えだ。橋本部長は「通信速度が速くデータ量も多いなど、最高品質のサービスしか選べないのは通信業界くらいだ。イオンは低価格スマホの市場を切り開いていく」と意気込む。
売り場の主役に
ビックカメラは4月4日、旗艦店の一つである東京・有楽町店1階のスマホ売り場を大幅に刷新した。携帯各社のスペースを拡大すると同時に、レジ奥にあったSIMフリースマホ売り場を中央部分に移設したのだ。
売り場の主役は18日に発売した月額2830円の格安スマホ。通信機器の企画開発を手掛けるコヴィアの端末とインターネットイニシアティブ(IIJ)のSIMカードを組み合わせた商品で、公衆無線LANサービスも無料で利用できる。
イオンと異なるのは、2830円のセットはあくまで一例で、SIMカードや端末を単独で購入できること。売り場にはNexus4などコヴィア以外の端末も陳列され、ユーザーは自身の利用シーンや予算に合わせて端末を選べる。主に40~50代の男性から支持を得ているが、店頭では女性客や外国人客が店員に質問する姿も見られる。
有楽町店の携帯電話売り場を担当する髙橋秀治氏は「売り場の案内が追いつかないほどで、SIMカードに関する問い合わせも増えた。今後は携帯会社と変わらないスタンスで販売していく」と話す。
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