外食で「閉店ラッシュ」、迫る経営破綻の危機 「いきなり!ステーキ」は企業存続の瀬戸際に

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「ガスト」や「バーミヤン」を擁するすかいらーくホールディングスは、今後も深夜時間帯の需要が減少するとみて、グループ全店の退店時刻を原則23時半とし、従来より2時間ほど早めた。その数は、グループ店舗数3269店(5月末時点)のうち、約2600店にのぼる。

幸楽苑ホールディングスも、ロードサイドに構える「幸楽苑」の直営店の多くは24時に営業を終えていたが、7月以降は原則21時に営業が終了する。郊外店はもともと、深夜の売り上げが大きくなかったうえに、新型コロナを受けて客足が一層厳しくなったためだ。

新型コロナで36社が経営破綻

これまで外食企業はチェーン展開で店舗数を増やし、規模の拡大を目指すことが多かった。だが、東京商工リサーチ情報部の後藤賢治課長は「地元の常連客が通うような、街に根付く飲食店には客が入っている一方で、それほどのこだわりもなく消費者がフラっと入店していたような大手チェーン店は客足が厳しくなっている。大手の外食企業が強い、という印象が変わってきている」と、外食業界を取り巻く環境の変化を指摘する。

店舗の閉店にとどまらず、経営破綻する企業も現れている。東京商工リサーチによると、新型コロナを原因に経営破綻した企業は6月10日時点で235社。このうち飲食業は36社にのぼる。

7~8月は、さらに飲食業の倒産が増えそうだ。「新型コロナの影響で裁判所が業務を縮小していたので、5月中は破産申し立て業務が滞っていた。足元では裁判所の業務が通常時に戻りつつあり、倒産件数は今後増えていくだろう」と後藤課長はみる。

これまでの倒産は中小企業がほとんどだったが、今後は大手でも存続の危機を迎える可能性がある。中でも、「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスについては資金ショートの危険性が懸念されている。

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