能力判断軸がなければ、女性幹部は増えない

大和証券グループ本社取締役、田代桂子氏に聞く

たしろ・けいこ 1986年早稲田大学政経学部卒、大和証券入社。91年スタンフォード大学MBA。2009年に執行役員、13年に常務執行役員、米国子会社社長に就任。

大和証券グループ本社で4月、生え抜きで初の女性取締役が誕生した。それも重要なビジネスシーンである米国担当だ。現在ニューヨークで活躍する田代桂子取締役に、女性登用の考え方を聞いた。

──米国の金融業界では、女性が経営に手腕を振るうケースは多いのでしょうか。

ウォール街には、重要なポストに女性が就いている企業はそれなりにある。ただし、米国のほかの業界と比べるとその数が少なく、問題視されるほどだ。

「多様性は大切である」というメッセージはあっても、マネジメント層への昇格では、どうしても女性やマイノリティが差別される現実がいまだに指摘され、ウォール街の課題として認識されている。いろいろなところで、この問題を議論する会合が開かれている。

できる、できないの判断軸が必要

──日本の金融業界では、そんな米国よりも女性幹部の数が少ない。

いろいろな考え方がある。たとえば、同じ女性の中でも、私の年代から10歳ほど下までは、数多くの外資系企業に就職し、活躍している。とても優秀で育児をしながらマネジメントディレクターになっている人も少なくない。当時、外資系企業に行く男性が少なく、企業側は女性を積極的に登用していた。

日本の金融業にはそうしたプロセスがなく、私たちの年代でマネジメント層に入る女性も少ない。外資系企業は「できる人には応える」としたので、今のような形になった。だが、日本の企業は「できる」「できない」ということを、なかなか判断できなかった。これは女性だけではなく、男性社員にも当てはまることだが、きちんとした判断軸を築かないかぎり、女性幹部は増えないだろう。

──そもそも大和証券に就職した理由は?

まず、証券業界を選んだというわけではない。当時は男女雇用機会均等法の施行1年目の就職で、多くの企業が初めて女性の総合職を設けていた。だが、「法律ができたので仕方がないな」という姿勢が見られるところが少なくなかった。そのため、就職先を業界単位で考えられず、女性活用を前向きに考えていると確信できる会社を選ぶしかなかった。それが当社だった。

女性登用に無理やりにでも取り組んだら、意外とできたということが何度もあったと思う。たとえば男性と同じ条件でリテール営業に踏み切ると、女性社員も何ら遜色がない実績を上げたとか、そんなことを10年以上続けている。

現在、女性営業店長が18人で、全体の1割超を占めるのは、早い時期に男性と同じ環境を整えたから。裏返せば、10年以上も続ければ後戻りはできなくなる。当社はもはや逆戻りできません。

週刊東洋経済2014年4月19日号〈14日発売〉「この人に聞く」に一部加筆

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