一気に重症化「子どものコロナ」語られない怖さ 肺炎だけが症状と思い込むと見過ごす可能性

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これまで「子どもはコロナの影響を受けにくい」と広く信じられてきたが、アメリカの疾病対策センター(CDC)が「小児多臓器系炎症性症候群」と呼ぶこの病状によって、そうした前提は大きく揺らいだ。新型コロナに感染すると主に肺に症状が現れるが、小児多臓器系炎症性症候群では全身に炎症が広がり、心臓の機能を損なわせることがある。川崎病と呼ばれる珍しい小児の炎症性疾患も引き合いに出されている。

しかし、医師らによると、この症候群が心臓に及ぼす影響は川崎病とは異なり、乳幼児ではなく主に学齢期の子どもに発症することがわかってきた。感染から数週間後に、新型コロナウイルス感染症の初期症状を経験しなかった子どもに現れることが多いようだ。

ニューヨーク市内だけで137の症例

アメリカ政府の新型コロナウイルス感染症対策チームで重要な役割を果たしているアンソニー・ファウチ博士は5月中旬、上院で開かれた公聴会で子どもの症状に触れ、次のように警告した。「この有害な病気に対して、子どもたちが完全な免疫を持っていると軽々しくも思い込むことのないように注意しなくてはならない」。

ジャックさんのように病気から生還した患者の経験には、医師や保健当局、親たちがこの謎めいた症状を理解するヒントが、しっかりと刻み込まれている。

「死亡する可能性があったのは間違いない」と、妻のカメリア・ガニア医師と共にジャックさんの主治医を長年務めてきたゲオルゲ・ガニア医師は言った。「循環器系(心臓や血管)に障害が生じると、ほかの臓器が次々と機能不全に陥るおそれがあり、生存が極めて難しくなる」。

ニューヨーク州では小児多臓器系炎症性症候群でこれまでに3人の死亡が報告されており、ニューヨーク市内だけでも137人の子どもの症例が調査中となっている(5月17日時点)。CDCは5月中旬に警告を発出し、疑わしい症例を報告するよう全米の医師らに促した。

「親や私たち医師が望む答えを得るために、さまざまな人たちができる限りのことをし、あらゆる角度から調査を進めている」と、ニューヨーク・プレスビテリアン・モルガン・スタンレー小児病院でジャックさんの治療にあたったトマス・コナー医師は述べた。コナー医師は小児集中治療の専門家だ。

ジャックさんがなぜ新型コロナに感染したのかは、本人にも、両親のジョン・マクモローさんとドリス・ストロマンさんにもわからない。ジャックさんらによると、自宅でオンライン授業を受けるため、3月18日にモンシニョール・マクランシー高校のロッカーを掃除した後、ジャックさんは1度しか外出していない。自宅アパートのある高層ビルのランドリールームで母親が洗濯するのを手伝うためだったという。ジャックさんの両親と22歳の姉も外出を避けており、彼らが受けた検査の結果は陰性だった。

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