「京王ズの乱」は不発、問題多い高希薄化増資

大量の新株式発行を伴う増資が横行

株式市場をにぎわせた「京王ズの乱」は不発に終わった。携帯電話二次代理店を手掛ける京王ズホールディングスが第2位株主である光通信に反旗を翻したものの、1カ月で鎮圧されたのだ。

発端は京王ズが2月28日に発表した第三者割当増資だった。割当先は中堅家電量販店で携帯電話販売も手掛けるノジマ。発行する新株は既存の発行済み株式総数を上回り、希薄化率は議決権ベースで実に111.07%。ノジマは一気に京王ズの議決権の5割超を握る筆頭株主に躍り出るシナリオだった。

東北地区で51店舗を展開する京王ズの仕入れ先は、一次代理店である光通信。その光通信と販売手数料率をめぐって関係が悪化していた。この増資には一次代理店をノジマに乗り換える目的もあったため、光通信は仙台地裁に増資差し止めの仮処分命令を申し立てて対抗した。

だが、仮処分はあえなく棄却された。京王ズが主張した資金使途の妥当性を裁判所が認めたからだ。

京王ズは増資公表時点で債務超過でもなければ累積損失を抱えてもいなかった。だが「売上高の過半を依存する光通信と関係悪化、近い将来資金繰りが悪化する」という京王ズ側の主張は、「手数料率でもめているだけで契約解除はありえない。京王ズが言う資金使途はでっち上げ」という光通信の主張に勝った。

ところが仮処分が棄却されたにもかかわらず、ノジマは払い込み延期を決め、最終的に中止を決めた。3月26日、光通信は京王ズのTOB(株式公開買い付け)による子会社化を決定、京王ズ側も一転して、TOBへの賛同を表明するという顛末となった。

既存株主軽視の増資

高希薄化増資がこのように「鎮圧」されるのは例外。大抵の場合、すんなり実施されている。表は、過去6カ月間に実施された第三者割当の新株および新株予約権の発行事例を、希薄化率が高い順に並べたものだ。

特定の第三者に著しく有利な条件で新株や新株予約権を発行する有利発行は、繰り返し外国人投資家からの批判にさらされたこともあり、金融庁や証券取引所が総力を挙げて撲滅に動いた。

具体的には、2010年発表の日証協の指針を裁判所も尊重し、市場価格から1割以上の割引株価での新株発行は株主総会の特別決議を要するとの判例が確立。また、希薄化についても2009年8月改正の東証の企業行動規範によって300%超で上場廃止、25%以上の希薄化や支配株主の異動を伴う場合は、株主総会での意思確認か、第三者からの意見入手が義務づけられた。

その結果、かつて横行した30~40%といった大幅な割引率での有利発行はほぼ姿を消し、大半が10%未満になった。明確な数値基準が抑制効果を生んだわけだ。

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