ZARAやH&Mが、これほど成功した理由 ファストファッションのしたたかなコピー戦略

✎ 1〜 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 最新
拡大
縮小
 おしゃれなモデルに派手なセレブ、ファッションピープルであふれるにぎやかなパーティ……。映画や雑誌で見るファッション業界の華やかなイメージは、人々を魅了してやまない。一方で、そのきらびやかなイメージの裏には、業界の戦略やしたたかな仕掛けが存在する。メディアからはなかなか伝わることのない、ファッション業界の舞台裏とリアルな現実をファッション・ジャーナリストが解説します。

 

前回、「少し堅苦しいかな?」という不安を抱えながらも、イノベーターやキャズムといった理論を用いて、ファッショントレンドを説明させていただきました。結果、意外にもファッション業界の方(まさに、インサイダー)からの反響があり、うれしい誤算でした。

さて、今までにも何度かお話しましたが、結局、「これがモードだ、トレンドだ」と提案しても、みんながブランドの最新トレンドの服を買うわけではありません。むしろ、そこまで興味がないという方も大勢います。

そして、これは何もファッションに限った話ではありませんが、ビジネスとして“ファッション”(高級ブランドから国産アパレルまで)をとらえるときには、ある程度、明確に消費者のポジショニングを把握する必要があります。なぜなら、そのポジションの違いをカテゴライズして考えたほうが、マーケットの全体像を把握するうえでは、わかりやすいからです。反対に、そこを一口に“ファッション”という言葉でくくってしまうと混乱が起きやすく、誰に向けた服なのかが不明瞭になります。

そんなことを踏まえたうえで、今回は、アーリーマジョリティの人をターゲットにしたファストファッションが、なぜここまで大成功したかについて、お話したいと思います。

ファストファッションの王者、ZARAとH&M

皆さんは、“ZARA”や“H&M”というブランドをご存じでしょうか。

実際にお店で買物をしたことがなくても、名前だけは聞いたことがあるかもしれません。実は、両ブランドとも1兆円を超える規模の世界的大企業のブランドで、ファストファッションのトップ1&2です。

次ページファストファッションって、どんなビジネス?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT