サラリーマンに医療保険は必要ない 30代「当たり前の幸せ」のリアル【保険とおカネ】編

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このように、仮に重い病気にかかり、3カ月間、毎月300万円の治療費がかかる治療を受けたとしても、総額の負担は上位所得者で50万円ちょっと、一般の人で30万円強、低所得者の人の場合、10万円強の負担ですんでしまうのです。

この程度の負担であれば、ある程度の預貯金があれば普通に払えてしまいますので、わざわざ月に何千円か支払って、医療保険に加入する必要はないのです。

もし、この程度の医療費が支払えないくらい家計が厳しいのだとしたら、そっちのほうがよっぽど問題ですので、まずは生活全般を見直すところから始めるべきです。

みんな、いくらくらい払っているのか?

最後に、がんになった方が、実際にどれくらいの治療費を支払っているのかを見てみましょう。アヒルのCMで有名なアフラックでは、「がんに関する意識調査」(リンク先PDF)の中で、治療費(入院、食事、交通費含む)についての調査結果を発表しています。

がん経験のない人に「がん治療全般に関わる費用がどれくらいになると思うか」を聞いたところ、最も多い回答が「300万円より多い」の32.0%、次が「200万円程度」の21.7%、さらに次が「300万円程度」の19.7%で、70%以上の人が200万円以上必要だと考えていることがわかりました。

では、がん経験のある人に「がん治療に関わる費用は総額いくらだったか」を聞いたところ、最も多かったのが「50万円程度」の37.5%、次が「100万円程度」の31.5%で、約70%の人が、100万円以下で治療を終えられているのです。

この程度であれば、保険などかけることなく、貯蓄で備えたほうがよほど得策だというのが、ファイナンシャルプランナーとしての判断です。サラリーマンに、医療保険は必要ないのです。

小屋 洋一 ファイナンシャルプランナー

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こや よういち / Yoichi Koya

1977年宮崎県生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、総合リース会社に就職。会社員時代に数多くの経営者と触れ合い、起業家を目指すようになる。2004年から不動産ベンチャーにて不動産投資実務についても研究。そのため、金融資産だけでなく不動産運用にも精通する。

2008年、個人のファイナンシャルリテラシーの向上をミッションとした株式会社マネーライフプランニングを設立。現在は個人を中心にライフプラン・コンサルティング業務を行う。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員、CFP、宅地建物取引主任者。

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