「研修中止」で企業に問われる新人育成の本質 新人を教育せず放置したままにする会社も

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コロナウイルスの感染拡大で、企業はさまざまな形での新人育成を模索しています(写真:metamorworks / PIXTA)

「新入社員研修は中止にします」

今、多くの企業でこうした判断がされています。新型コロナウイルスの感染拡大の状況を考えれば、そうした選択も大切です。ただし「集合研修をやらない代わりにどのようにしているのですか?」と尋ねると、対策に困っている声が多く聞こえてきます。

ビジネスの現場は「戦場」といっても過言ではありません。新入社員はまだ戦い方もわからない、そもそもどこに向かえばよいかもわからないような状態とも言えます。これまでのように研修を実施できないのであれば、他の方法で新入社員に戦い方を教えるのも大切になってくるでしょう。

研修しないで現場にそのまま出す会社も

コロナウイルスの感染拡大を受けた企業の対応はさまざまです。企業の中には、新入社員研修をしないまま現場に出すという選択をした会社もあったようです。致し方なかったと言えるのかもしれませんが、その選択をした企業からは、すでに「うまくいかずに困っている」という話も聞こえてきます。

例えば営業の場合「トップセールスの社員に同行させて、教えてもらえばいい」と考える人が多くいるようです。しかし、これには1つの大きな落とし穴があります。というのも、トップセールスの人が指導力に長けているとは限らないのです。

営業でトップを獲るような人のうち、自分がやっていることを他の社員に体系的に説明できる人ももちろんいますが、自分だけの感覚、その人だからうまくいくような方法で売っていることも珍しくありません。

結果として、教えられた新入社員も理解できないし、教えている社員も「なぜこれができないのかわからない」というような状態に陥ってしまいます。そしてトップセールスが指導する時間を使う分、売り上げにも影響します。研修費は節約できてもトータルでマイナスになることも多いようです。

実際に現場に配属されたものの、そこで何かを教えられるわけでもなく、仕事を振られるわけでもなく、ただ放置されている新入社員もいると聞きます。

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