イタリア、スペインと感染急拡大の欧州事情 第一生命経済研究所の田中理氏の分析

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――製造業ではどのような影響が出るのでしょうか。

移動制限とは言っても、生産活動は動かす、物流も動かす、としており、会社に行くこと自体も禁止していない。ただ、テレワークがそもそも発達していない。

イタリア特有の産業構造がある。あまり操業停止の例などで具体的な名前が聞こえてこないのは、有名企業が少ないためだ。フィアットなど大きな企業もないわけではないが、中小零細企業、従業員10人以下の企業が約95%で、圧倒的に多い。家族的な経営が多いので、クラスター感染が起きることが懸念される。

イタリアには欧州各国の下請け企業が多い

また、欧州へのサプライチェーンによる影響は避けられない。イタリアは企業数で見ると輸出企業の割合が非常に高い。欧州の下請け企業、サプライヤーとなっているためだ。

最終製品を作っている企業が35%、下請け企業が65%でそのうち7割以上が他国へ輸出している。北部と南部見ると圧倒的に北部に集中しており、欧州の分業体制に組み込まれている。

ドイツの輸出を見ると、中国ほどではないが、イタリアへの依存度も高い。また、ドイツやフランス、スペインはイタリアから中間財を輸入して加工していることが多い。繊維製品もイタリアの布地がよく使われている。

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