ライザップ、新型肺炎で「経営再建」に漂う暗雲 本業「ボディメイク」を脅かすゴルフの赤字

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ライザップは2018年11月に新規M&Aの凍結を発表、2019年3月期決算が赤字に転落するとの見通しを発表した。そのニュースが大きく報道されたことでライザップの経営状態を不安視したためか、ジムやゴルフの新規申し込み客が鈍ったという。

広告の反応が弱くなったことで費用対効果の観点から広告費を絞った。だが、「過剰に絞りすぎてしまった」と瀬戸社長は振り返る。広告費を減らしたことで短期的には採算がよくなったが、結局は売り上げが落ちた。そうなると、今度は人件費などの固定費が重荷となり、利益が落ち込んだ。

ゴルフなどの事業が拡大することを前提に、子会社ライザップはこの2年ほど人員を増やしていた。「タガが緩んでいたというか、人の採用が加速しすぎていたのは否めない」(瀬戸社長)。

ゴルフは3月に単月黒字化の見通しだが…

本業である子会社ライザップの苦戦について瀬戸社長は、2019年11月以降はジムやゴルフの広告宣伝を強化したことで2020年3月末までには挽回できる、と自信をみせる。増えた人員も、市場開拓中の法人向けサービスに振り向けるなど配置転換を図っているという。

事業開始から4年を経ても赤字が続いているゴルフについては、店舗設備などの減損リスクが懸念される。減損額は1店当たりの投資額から推計すると18億円程度と小さくない。しかし、3月にもゴルフは単月黒字化する見通しで「減損はたぶんない」(瀬戸社長)と述べた。

そんな瀬戸社長率いるライザップに暗雲を投げかけるのが、新型コロナウイルスの影響だ。

厚生労働省は、感染拡大のリスクが高い場所の1つとしてスポーツジムを挙げた。ライザップは1対1のパーソナルトレーニングジムであるためか、足元では予約されたトレーニングのキャンセルは発生していないという。とはいえ、新規の客足が鈍るなどの影響は避けられないだろう。ゴルフも同様だ。

2019年6月のライザップ株主総会。瀬戸社長は株主を前に、「今期(2020年3月期)の赤字は絶対にありえないという自信と確信を持っている。黒字にならなかったらこの場にはいない」と語った。ただ、ゴルフでの減損処理を迫られるなどすれば、そのコミットは撤回せざるをえない。

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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