筋肉体操の谷本先生が教える良い脂肪の取り方 脂肪の使い分けができるかで健康に差が出る

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摂取カロリーが同じでも、高脂質の餌を食べたラットでは、体重が変わらないままで体脂肪率だけが大きく増加したという報告があります。カロリーが高くなくても高脂質食は体脂肪を増やすのです。

高脂質食には体脂肪の分解を抑制する作用、ミトコンドリアでの脂質の燃焼反応を低下させる作用のあることがわかっています。高脂質食は「体脂肪をエネルギーとして使いにくくする」ので脂肪がつきやすくなるのです。

 また、高脂質食は、食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌を減らしてしまいます。レプチンに対する感受性も低下させます。つまり、高脂質食品を摂っていると、レプチンが働かないため食欲の抑制がきかず「食べすぎてしまいやすい」という要素まであるのです。

体脂肪が気になる場合は「肉より魚」を

 とはいえ、ひとことで脂質といっても、それに含まれる「脂肪酸」の種類によって肥満や健康効果には違いがあります。ここで脂肪酸について簡単に説明しておきましょう。

 食事に含まれる脂質の大半は中性脂肪(トリグリセリド:TG)です。そして中性脂肪の大半は脂肪酸で構成されますので、食事の脂質は大半が脂肪酸ということになります。

 脂肪酸は、炭素の二重結合のない飽和脂肪酸と、二重結合が1つだけある一価不飽和脂肪酸、2つ以上ある多価不飽和脂肪酸の3つに大別できます。

 肉類や乳製品に多い飽和脂肪酸の摂取では、魚油などに多く含まれる多価不飽和脂肪酸(DHA、EPAなど)と比べて脂質がエネルギーとして使われにくく、体脂肪の蓄積量が大きくなることが報告されています。

 ですので体脂肪が気になる方は、飽和脂肪酸の多い肉類や乳製品を摂りすぎないようにすべき、ということになります。「肉より魚」は、主には動脈硬化対策などの健康面からいわれる言葉ですが、肥満対策にも重要な意味を持つのです。

 さらに肉類に豊富に含まれる飽和脂肪酸は、動脈にコレステロールを付着させて動脈硬化を進めるLDL(いわゆる悪玉コレステロール)を増加させ、さらには付着したコレステロールを回収して動脈硬化を改善するHDL(いわゆる善玉コレステロール)を減少させてしまうことが認められています。対して、魚に豊富な多価不飽和脂肪酸はLDL(悪玉)を減らします。

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