鹿島建設が女性を現場配属する理由 建物を建てたい、橋を架けたいという女子学生が急増中

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また、毎年実施しているわけではなく、ここ10年くらいの間では、2000年が6人、2003年が10人、2008年が17人、2012年が8人となっている。

女性技術者を積極的に現場配属

──総合職採用を再開してからは、女性の技術者を積極的に建設現場に配属しているそうですね。

土山淳子
鹿島建設株式会社 人事部担当部長(ダイバーシティ推進担当)
1979年鹿島建設入社。北海道支店総務グループ長、人事部にて女性活躍推進、人事相談等を担当。人事部次長を経て、2011年4月より人事部ダイバーシティ推進担当部長

弊社で、女性の職域を拡大しなくてはならない分野として考えられたのが、現場と営業だった。言い換えれば、この2つは女性が男性と同じように働く環境にはなかったということになる。また、弊社はモノづくりが本業であり、現場を重視していて、男性社員でも現場経験がないと提案などが通りにくい風土がある。

そこで、女性の総合職採用の再開に当たっては、事務系でも現場を経験させることを前提にした。現場の事務系の仕事というのは経理、総務や労務管理、近隣対応、式典の準備など、多岐にわたる。現場で施工の監督業務をするのは技術者だが、それ以外の仕事は事務系社員が行う。

──事務系以外の女性総合職、つまり女性技術者が、現場配属を前提に採用され始めたのはいつ頃からですか。

2005年からだ。主に内勤業務となる設計に携わる女性総合職社員は、それ以前から採用していたが、2005年からは、鉄骨をどうする、コンクリートをどうすると、現場に勤務しながら、工事を遂行していく役割(=施工担当)を担う女性技術者も採用するようにした。

弊社の場合、セクションごとに人事担当者がいて、人事部と連携しながら、事務系、土木系、建築系、数理系などの職種別の採用を行っている。そのセクションごとの人事担当者と連絡を取り合い、2005年から土木系、2006年から建築施工系の女性技術者が採用された。

大きな建物を建てたい、橋を架けたいという女子学生は増えている。たとえば、大学によっては建築コースに進む学生の4割くらいは女子学生になっている。男性だけを採用していたら、人材がいなくなる。モノ作りに興味を持っている人材は男女を問わずに採用して、力を発揮してもらうことが重要だと考えている。

採用数は最初1~2人だったが、2008年頃から事務系も合わせて毎年25人前後の女性総合職を採用している。応募してくる女子学生が多くはないので、結果として採用人数としてはまだ少ないが、女性総合職の人数は確実に増えている。

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