だが、ちょっと待ってほしい、その病気になる直前の”病気もどき”こそ体のSOS信号なのだ。この連載では看過することのできない”病気もどき”について医療ジャーナリストの安達純子氏が解説する。
大問題に発展も
仕事は期末で多忙な時期を迎え、ストレスも加わり睡眠時間は失われやすい。眠りは体の疲れを回復するだけでなく、記憶などの脳の働きや、さまざまなホルモンの分泌に伴う体調管理にかかわるなど、生きるために必要不可欠。一般的に1日7時間程度の睡眠時間が健康に役立つといわれるが、ハードワーカーの会社員は、今の時期、その確保も難しい。
『朝、スッキリ目覚め「いい眠りだったな」とつい言ってしまう本』(主婦の友社)の著者、スリープ&ストレスクリニックの林田健一院長が警鐘を鳴らす。
「過重労働による睡眠不足の状態が続くと、過去に起こったバス事故のように、重大な問題に結び付くことがあります。『自分は眠らなくても大丈夫』と過信してはいけません。寝不足の状態では、居眠りだけでなく、判断力や集中力も低下します。眠気の副作用が伴う花粉症の薬を飲んでいるとなおさら。仕事のパフォーマンスを上げるには、睡眠時間の確保が大切です。プライベートでは睡眠時間を確保することを優先し、それでも眠れないようならば、一度、かかりつけ医に相談してみてください」
うっかりミスは誰にでも起こりがち。しかし仕事では、たったひとつの数字を間違えただけでも、大問題に発展することはある。期末で多忙なだけでなく、失敗で多大なストレスを受けると、イライラや不安で夜眠れないといったことに拍車がかかる。
「3月から4月には、人事異動で職場環境が変わりやすく、仕事だけでなく対人関係のストレス、生活環境や通勤時間の変化に伴う生体リズムの乱れなど、睡眠不足に陥りやすい状況になります。生体リズムの乱れは、時差ボケのような状態を引き起こし、良質な睡眠を妨げます。生活習慣を見直す睡眠衛生を心掛けましょう」(林田院長)。
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